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LastUpdate 2016/04/28

御殿場ルート登山レポート

登山日
天候曇り時々晴れ
投稿者富士さんぽ管理人 37歳 男
人数単独
プラン日中日帰り
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富士さんぽ管理人による、御殿場口新五合目~二ッ塚(双子山)の登山レポート。

ツインズ

御殿場口新五合目から、二ッ塚に登って来ました。この山は別名、双子山とも呼ばれています。その名の通り、二つの山が並んでいます。5合目の標高が1,440m、下塚が1,804m、上塚が1,929mですから、最大標高差489mという意外ときついコースです。

13:32御殿場口新五合目発(標高1,440m)曇り27℃

富士山の裾は広い。何しろ日本で一番高い山であり、独立峰であることからその裾野が広いのも当然だろう。そして、富士山にはいくつかの側火山(そくかざん)を備えている。今回は、その側火山のひとつ、いや、ふたつの山を登った。

今回の登り口は5合目第一駐車場の奥を使ったが、『山と高原地図』の表記とは異なり、この道はどうやら御殿場ルートにすぐに合流するようだ。ただし、幕岩(まくいわ)への分かれ道が最初に出て来るので、特に理由がなければ御殿場ルートの登山口である鳥居の方から登った方が間違いがないだろう。

道は最初から滑りやすい細かな砂礫(されき)の道である。足が沈むほどではないが、あまり力を入れて踏み出すと体力を消耗することになるので、そっとやさしい足捌きを心がけよう。

13:47大石茶屋着

15分も登ると大石茶屋に辿り着く。この先には山小屋も自動販売機もないから、飲料水など必要なものがあれば買っておこう。

ここで道は、御殿場口登山道の本道と二ッ塚への道に分かれる。本道は登りと下りにさらに分かれているが、二ッ塚に登るにはどちらも間違いなので気をつけること。

写真の右端で見切れているのが本道の登りと下りの道。看板の後ろを人が歩いているのが二ッ塚に至る道である。さらに奥に見えているのが二ッ塚である。この山を目標に歩けば迷うことはないが、霧に巻かれると山も隠れてしまうので注意が必要。ハイキングであっても、地図とコンパス、ライトは持って登って欲しい。

この道には柵などはない。ただ地面を這うような白いロープだけが正しいコースを示している。しかし、写真のようにロープ際でも斜面が崩れているところもある。砂礫は簡単に崩れやすいのだ。

花など育たないと思われている富士山だが、意外と多様な植生が見られるのが麓のハイキングの楽しいところ。写真は、砂礫の中に咲くフジアザミである。噴火で放出された火山礫(スコリア)にいち早く進出する、パイオニア的な植物であるという。
この花は自然繁殖だけでなく、保護・育成活動によって増やしているそうだ。裸地にも深く根を張るフジアザミは、植生の再生や緑化、砂礫地の崩壊食い止めに一役買っているので、摘み取ったり踏みつけたりしてはいけない。山でとっていいのは、写真だけである。

14:32下塚下(1,770m)

大石茶屋を出発してしばらく進むと、道は急激に傾斜を増してくる。しかも滑りやすい砂礫は徐々に深くなり、足がとられて体力の消耗は激しい。晴れた日には強烈な日差しから隠れる場所もない。
小さなお子さんを連れた家族などは、水分補給と体調の確認に気を配って欲しい。特に子供は集団行動が苦手だから先に進んでしまったり、逆に大きく遅れたりすることもある。このコースは一歩道を外れたら茫漠とした砂漠のような場所である。ガイドの白ロープが見えない場所に行けば、登山道も見失い、自分の位置も分からない。決して子供から目を離さないように。

急坂を喘ぎなら登ると、突然平らな場所に出る。そこはちょうど二つの山の間である。標識が立っているので、そこを目安に下塚に登る道を辿れる。降りるときもこの標識を目安に下ろう。二ッ塚の二つの山は、どの方向へも降りられるので、方向を間違うと本当に道に迷うことになる(経験者談)。

14:38下塚(したづか)山頂(1,804m)

下塚への登り斜面は、これまで以上にきつく感じるだろう。砂礫は厚く積もり、一歩ごとに崩れるので中々進まない。ここを登るにはコツが必要である。
出来るだけ一歩を小さくとり、決して大またで力強く踏み出してならない。踏み出した足に力を込めるほど、砂はもろく崩れる。力を入れずにそっと置くだけ、その繰り返しを心がけよう。

とはいえ、この斜面は長くは続かない。10~15分もあれば登れるので、普通の体力があれば難しくはない。

山頂からの展望はすばらしい。山中湖から御殿場市街まで一望に見下ろすのはもちろん、富士山の方を向けば日本とは思えない雄大な景色が広がっている。

~15:00食事休憩

ここで一休み。山頂にはベンチなどはないので、アウトドア用の座布団があると重宝する。レジャーシートでもいいが、下は荒い砂利で凸凹していて平らなところはない。こうしている間にも、富士山に纏わりつく雲は流れ、刻々と変化している。それを見ているだけでも見飽きることはない。

15:08上塚下

休憩を終え、下に降りて来た。普通はここまでで充分楽しめると思う。目の前には上塚(うえづか)が見えているが、下塚より120m以上も高い。登り口である下塚下から比較すると、下塚の標高差約34mに対して、上塚の標高差は150m以上だ。しかも、斜面はより急傾斜である。
ここまでで体力を使い果たしているならば、無理に登ることはない。「折角ここまで来たのだから、ついでに」という考えで気楽に登れる山ではない。運動不足の人にはかなり辛いであろうことは申し添えておく。おそらく、登ってる途中で嫌気がさすものと思う。それでも、根気のある人であれば時間は掛かっても登れないことはないだろう。

15:29上塚山頂(1,929m)

上塚の山頂にはケルン(石積み)があるだけで、標高を示すような石柱はない。三角点はあるがなんと御料局の文字が読み取れる。
『御料局(ごりょうきょく)』とは、皇室の御料林を管理する目的で作られた宮内省の外局のひとつで、1985年(明治18年)に発足し、1908年(明治41年)には『帝室林野管理局』に名称が変更されたことから、この三角点は100年以上前のものということになる。またひとつ、富士山の歴史に触れた感じがする。

上塚から下塚を見下ろすと山頂の窪みが良く分かる。火山である富士山周辺に点在する丘は、ことごとくかつての溶岩噴出口であったのだろうが、こうして改めて見ると地球のパワーというものをまざまざと見せつけられる思いである。

15:55下塚下(1,770m)

上塚を降りて下塚に戻ってきた。二ッ塚から先へ進むと宝永火口や富士宮口五合目へ行けるが、ハイキング目的で来た初心者には少し厳しい道のりになるだろう。御殿場口新五合目からここまでの標高差は約330m。ここから富士宮口五合目までは、さらに600mの標高差がある。
それだけではなく、この先はガイドロープもないから霧が出ると迷いやすい。白いロープが張られているのは下塚の下の道標まで。地図とコンパスなしに進むのは無謀である。

16:21大石茶屋着

大石茶屋に戻る。

夏休みの日曜日ということもあり、この往復ですれ違った人は意外に多かった。富士宮口方面から下って来たのであろう登山者や、子供たちのグループ。合わせて40人ぐらいか。

~17:17休憩

大石茶屋にて暫し休憩。休憩の間も続々と降りてくる人たち。1時間ほどの間に10人弱ぐらい。

17:21御殿場口新五合目帰着

5合目に戻る。

昼ごろには9割方埋まっていた第一駐車場も、このころには6~7割に。なお、御殿場口の駐車場は第三まであり、第三は昼ごろでも1割弱のガラガラだった。

246を使って東京に帰る途中、山北町のあたりで土砂降りの雨。渋滞が厚木の方まで続く。それでも何とか無事に帰り着きました。

(投稿日:2012年8月25日)

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