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LastUpdate 2016/04/28

富士宮ルート登山レポート

登山日~22日
投稿者ひろぽん堂さん 49歳 男
人数2名(夫婦)
プラン一泊二日
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ひろぽん堂さんによる、富士宮口五合目から御殿場口下山~プリンスルート~富士宮口五合目までの登山レポート。

御来光は山小屋からでも充分楽しめる。

ペンネーム「ひろぽん堂」49歳男富士山は五回目。カミさんは43歳二度目の登山です。

梅雨明けを今か今かと待ち続けた。今年は残雪が多くて静岡側の登山道の全面開通は7月18日までずれ込む事となったのだ。で、7月19日の雷雨である。これはもう大丈夫なんだろうと富士登山を見切り発進する事とした。
行程は昨年と同じく
7月21日 富士宮口から日中登頂。御殿場口下山。七合五勺砂走館宿泊。
7月22日 御来光は山小屋で見てプリンスルート下山。

7月21日 5:15起床。

 水筒はカラで家を出た。コンビニで朝食のおむすびを買う。6:18浜松発こだまで静岡へ。7:00ホームライナーで富士。7:45身延線乗換えで富士宮着が8:04。これより早く着く方法は難しい。クルマで乗り付けるか前泊するかしかないですな。

富士宮駅前のコンビニで最後のチェック。登り始めると気ぜわしくて食事が面倒なのは承知なので、ウィダーインゼリーとアミノバイタルゼリーを二個ずつ、どら焼き二個、水2リットル。ココまではカミさんと二人分。
りんごジュースのペットボトル(カミさん用)おーいお茶500ミリリットル・おしゃぶり昆布梅(ワタシ用)を買って店を出た。

今回は「富士登山バス・フリーきっぷ3日間」というのを3100円で買った。これはどの登山口から入山・下山してもバスの乗り降り自由という便利なモノであります。
例えば河口湖駅や富士山駅からスバルライン五合目に向かって、帰りは須走口から新松田駅に行ってもよい。
ワタシの場合、往きは富士宮口だが下山はプリンスルートか大砂走りなので、御殿場口新五合目から御殿場駅を目指す可能性がある。当日まで決めなくて良いのでラクなのです。

富士宮駅~富士宮口五合目
8:30富士宮駅発富士宮口五合目行きのバス発。

 車内はギリギリ全員座れた。山道の一時間半立って行くのは辛いからねぇ。
富士スカイラインの二合目水ヶ塚駐車場より上はマイカー規制が敷かれていた。駐車場から登山口のシャトルバスは往復で1500円だそうだ。別に期間中の駐車代が1000円掛かるので、2人くらいなら駅からバスの方が得だと思う。
バスとタクシーしか走っていない道中は確かに快適でしたが、時折上り下りしているローディを見かけた。ひゃー凄ぇ!

(富士さんぽ註:ローディとは、ロードバイクに乗る人のこと)

富士宮口五合目~山頂
9:50富士宮口五合目着。

雲は抜けたが何となくガスっている。すぐに表口五合目レストセンターの食堂へ。
きつねうどん800円+ゆでたまご100円、カミさんは月見うどん800円。とても美味い。お奨めです。
で、食休みと一服でレストセンターの屋上へ上がる。ローディが自転車で登ってきていた。聞けば富士宮から4時間で来たらしい。大会のときは2時間台で来るそうだが、それでもまだまだなんですと謙遜されていた。うーむ勇者だ。カミさんと2ショット撮らせていただく。

10:30登山開始。

長大なツアー客のプロトンが牛歩戦術を敢行しているので抜くのに手間取る。
ココで今回のモンスター現る。背の高い北方系の白人女性・黒のタンクトップ・パステルブルーの超ミニスカート・生足・オーストリッチのバッグを左肩に掛けて右手には大きなスーパーのレジ袋というちょっと青山の紀伊国屋でお買い物といったいでたちで我々を風のように追い越して行った。第一次接近遭遇である。

(富士さんぽ註:プロトンとは、自転車競技におけるメイン集団のこと。ここでは切れ目無い登山者の集団のことを指しているようです)

11:00新六合着・11:55新七合「御来光山荘」着。

名古屋から登山の練習に来たという親子二人連れと話しながら同行。穏やかなお父さんだったがジャージの胸の「極心会館」のロゴが眩しい。

12:45元祖七合「山口山荘」着と順調でしたが、下からガスがブアっと上がってきてワタシの眼鏡があっという間に曇った。すぐにバラバラッと大粒の雨が降り出したが山小屋の前で助かった。中に入れてもらって名物梅昆布茶を頼むも品切れ。ホットコーヒーを頼む。二つで1000円。
きちんとカップ&ソーサーで頂くコーヒーは格別でした。先着の二人は「静岡県警察」の帽子姿で歩荷のような大きなザックを背負っていた。程無く親子連れも入ってきた。いいペースで来てますね。
13:05雨が上がったので腰を上げる。一服して出発。

13:50八合目「池田館」着。

ジッポの火が点かなくて貰い火をしてる方を見つけたので使いさしの100円ライターを差し上げる。この話は後からまた詳しく述べます。

14:45九合目「萬年雪山荘」ココで長めの休憩。

ココの自動販売機のダイドーコーヒー400円はシャバでは味わえない美味さでありました。
プカプカ一服してると、上から件のモンスターがガガガと降りてきた。いでたちはさっきと同じ。ただ、右の膝に擦り剥いた傷が一つ付いていた。第二次接近遭遇だ。
そうだ靴は?とガン見する。
アシックスのスニーカーだった!少し安心した。
小屋でも立ち止まらずに一気に下山していったが、先の県警の二人と立ち話をしているのが眼下に見て取れた。
小屋に登ってきたお二人に聞いてみた。
「登頂したんですかね?」
「多分したんだと思う。膝の怪我の話をしたんだけど、ダイジョウブの一点張りで降りてったよ。」
「ワタシらココまで4時間で、決して遅いペースじゃないんですけど、じゃあ三時間半で登頂して30分で九合目まで来たような感じですかね?」
「いやぁあなた方相当速いですよ。こちら二人で感心してたんだもん。でもあのネーチャンは今日のベストだわ。」
県警のお二人の今日の登山はココまでの様だったが、担ぎ上げた荷を持って小屋の横で挨拶をしていた。お引止めして立ち話など申し訳なかったがありがとうございます。

毒気に当てられたのか高度の問題なのかココからペースが落ちる。

15:30九合五勺「胸突山荘」着。

ココの焼印は日付を入れてくれるので登頂の記念にとてもイイ。カミさんの金剛杖に入れてもらうが、ワタシの杖にはもう新たな焼印のスペースがないので、「日付だけ」特別に一筋入れてもらう。職人技だわ。山頂と看板を入れた2ショットも綺麗に撮っていただいて感謝してます。胸突山荘のお姉さんありがとう。

ここで今年はワタシに大ブレーキ!足が上がらなくなった。抜かされはしなかったのが不思議だが、下山してくる人に励まされ、漸う登頂したのが16:30でした。キツかったなぁ…

16:30登頂

山頂でハイライトを燻らせていると、すいません火を貸してもらえますかねと声が聞こえた。さて出番だ。
ワタシの富士登山はこれで5回目なのですが、初めて登った御殿場口ではジッポの火が点かなかった。大雨の中だったので湿気の所為かな?とも思ったが、二度目からは色々持ち込んで実験していたのだ。で、結果
・ジッポ× イムコでも×
・充填式の電子ライター× 100円の電子ライターも微妙に× ターボ・ジェット共に×
・フリント式のロンソン○ 
・100円の石のライター◎ マッチ○
オイルライターと電子ライターは富士山ではダメなのです。
で、ワタシはこの日のために100円の安ライターを中古と新品合わせて7個持って上がって来たのだ。飛行機には乗れませんね。
大威張りで恩を着せてライターをばら撒く。嫌煙家に粛清されそうである。でもこれだけ窮屈な世の中にされたらコッチにも意地がある。

富士宮口山頂~須走口山頂~御殿場口へ

何だかんだブレーキもありましたが、休憩込みトータル6時間での登頂は悪くはない。中の上というところでしょうかね。
ただ、アロハで登っといてアレですが、山頂は思いっきり寒かった。西風も強力で、今回は剣が峰はパスした。
そうすると何かしら手持ち無沙汰なのである。そうだ金剛杖のレベルアップを図ろうと須走口の頂上を目指す事にした。

16:15作戦行動開始。

丸々30分歩いて辿り着いたあげく我々が見たものはすっかり店じまいしている売店の雨戸だけであった。
ガビーン!無駄足とはまさしくこの事だったかぁOTZ
しかし拾う神というのはおわすもので、「久須志神社」がまだ開いていたのだ。祭神は大名牟遅命、少彦名命。旅の神様である。
カミさんが飛び込んで金剛杖への刻印を懇願する。本来はタイムアップらしいのだが、神官が苦笑いをしながらハンマーで朱を入れて下さった。

ひのきのつえのレベルが上がった!

これでドラキーくらいは一撃で倒せるにちがいない。それでは下りに(チョンッ!)掛かろうかぁ(刻み)

(富士さんぽ註:ドラキーは、攻撃力14、守備力10、HP9、獲得経験値2ポイント、3ゴールドです)

17:50御殿場口下山道

来た道を再び戻る。影富士が見えたらラッキーかなと期待したが首尾が悪かった。御殿場口下山道に入ったときはすでに17:50だった。
のろのろと下山する。もうこの時間になると御殿場口から昇ってくる人は全くいない。
唯一九合目あたりですれ違ったのは中学生位の二人だったが、先達は寒さで血の気が引いて蝋人形のようだった。で後ろから「待ってよう!」と泣きながら追いかけるもう一人。可哀想に足が合わないんだな。こればっかりは助けてやりようがない。何としても昇り切るか諦めて降りるかしかないのである。でも登頂しても20:00は超えるだろうな。上に宿取ってるのかなと気にはなったがこちらもいっぱいいっぱいでどうしようもなかった。

18:40赤岩八合館着。

小屋の名物のおかみさんに笑顔で迎えられる。
「あれ、今年もアロハのお兄さんがやってきたよ。」
声を聞きつけて他のスタッフの皆さんも顔を出してくれた。
土産がてらに持参した100円ライターを3個贈呈する。喜んで受け取ってくれたのがとても嬉しい。荷も心も軽くなった。
「別にこっちに宿泊でも大丈夫よ。今日は余裕あるしどう?」
と有難い申し出を頂いたのだが、後ろ髪を引かれる思いで小屋を後にした。今度はこちらにお世話になろうかな?

だんだん暗くなる足元にビビりながらも目的の小屋の灯が見えてきた。はぁやいやい…

19:20七合五勺砂走館着。

渡されたホウキで砂を叩き落す。
今回は初めて3階の屋根裏スペースを案内された。二人で6×6尺。充分過ぎるほど広い。
「21:00が消灯ですから早めに食事を済ませて下さいね。」
おおそうだそうだメシだ。いつもながらココのカレーは塩味強めニンニク風味でとても美味い。缶ビールを一本頼む。一番搾りとドライが選べた。当然キリン。流石に疲れたのでカレーのお代わりは出来なかった。
カミさん今回はまことに美味そうにカレーを平らげていた。

食後に表で一服して、食休みのつもりでゴロンと布団に横たわったらそのまま寝てしまった。迂闊だった。
小用で目覚めたら22:00だったが見事に真っ暗でありました。商売道具のマグライトで梯子を下りて外のトイレへ…
「やいやい!雨ずらよ。」
廊下に立たされる小僧のように直立不動でタバコを一服。軒が浅いので微妙に濡れたがまあ仕方がない。

で、朝までZzzzz…3階だったので夜発ちの連中に灯かりで起こされる事もなく安眠できた。今迄で一番快適だったなぁ。

4:30目覚まし無くとも周りの喧騒で起床。

カミさんを叩き起こす。
「え、御来光?ああそうか富士山なんだぁムニャムニャ。」
幸せな生き物である。
表のテラスのベンチは湿っていたが雨は上がっていた。見事な御来光。宝永山の向こうに双子山が望める景色が素晴らしかった。
うーむ立派な盛り上がりだなあ (´∀`*)

朝食はハムエッグ・昆布の佃煮・梅干・大根漬・玉子の白身の味噌汁と素敵でした。メシをお代わりする。
さて、お世話になりましたと小屋を辞したのが6:30 何時来ても快適な小屋である。ワタシの顔も覚えていてくれてるようでありがたいことです。

すぐ下のわらじ館で水のペットボトルを買う。水筒に移し替えてボトルは返す。小屋の主の具合を尋ねるがまだリハビリ中らしい。お気の毒でありますが、来夏にお会いしたいです。 ココでゲートルを着ける。さてとシャバに帰ろうかなぁ

(富士さんぽ註:わらじ館の館長さんは、雪下ろしのときに屋根から転落して入院中だそうです)

プリンスルートで下山

足を壊したくないのでそろそろと下山する。途中の休憩ポイントは下り六合の分岐点・宝永山頂・宝永山第一火口のベンチ・御殿庭への分岐点・富士宮口六合宝永山荘というところでした。

9:00富士宮口新五合目登山口着。

通訳ガイドのお姉さんがいらしたので、昨日遭遇したモンスターねえちゃんの話をするとやはり話をしたらしい。

「昨日すごく早いうちに降りてきたのだけれど、足が血だらけでねぇ。救護所で治療しましょうかって勧めたんだけど、大丈夫だからってニコニコでサアッと帰って行ったんですよ。だから登ってないと思ってたんだけど、そうですか上まで昇ってたんですか?やっぱり何と言うか身体の構造が違うのよねえ。特に白人は寒さに強いのよねぇ。あなたもアロハで登って行くから大丈夫かしらと思ってたんですよ。」

「あらら昨日から見られてたんですね。勿論まかなえるフリースも雨具も持ってますし、ワタシはドサンコですから薄着なんです。」

そんな話をしていると他のスタッフがやって来た。どうも下山道を間違えて降りてしまった外人がいるらしい。それじゃすいませんねぇお話楽しかったですとすみやかに対応に向かわれた。
足元には見事なオオミズアオが一頭、羽を休めていた。山の精霊を愛でて9:30のバスに乗り込みました。

富士宮駅経由の新富士まで行くバスであったが、「富嶽温泉 花の湯」で途中下車。
驚いた事に山道具のレンタルをやっていた。予めメールで申し込んでココで受け渡しをすればイイらしい。一泊二日で10800円と高くはない。

まぁ道具は一式揃ってるから今更お世話にならなくとも良いのだが、便利な世の中になったものだなぁ。( ・∀・)つ〃∩ヘェー

で、朝湯&昼酒。身延線からの東海道線で静岡。大酒食らいました。ずっと飲んでたアミノバイタルのお陰で酔わない酔わない。金がかかるなあ。

浜松まで帰宅してすぐにクーラーを入れるも煮えてる家はすぐには冷えない。滝のような汗を水シャワーで凌いでそのまま寝た。夢を見る暇もなかった。

(投稿日:2014年7月25日)

富士さんぽ管理人から一言

ひろぽん堂さん、栄えある当サイトへの登山レポート投稿一番手でございます。(*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ
(しっかし4年目にして初とは、どんだけ人気ないねん、俺のサイト・・・)

まぁ、独り言はさておき、テンポ良い話の展開で、そうとう書きなれていると見ました。アロハシャツで登っていくひろぽん堂さんが目に浮かぶようです。
コンビニ袋を持った白人女性は、某掲示板でも話題になっていましたね。

P.S.
「幸せな生き物」と一緒に登られたひろぽん堂さんも幸せだと思います。

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