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富士山遭難事故の記録 2016年 11月20日

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富士山で起きた遭難事故をまとめています。

65歳男性・18歳男性 相次ぎ滑落

11月20日、積雪によりすでにアイスバーンと化している富士山の9合目付近で、6人パーティで登っていた65歳の男性(当初発表では64歳)が滑落。同じパーティで登っていた18歳男子学生も安全な場所へ移動中に滑落し、「骨折して動けない」と自ら110番通報しました。男子学生はその後、さらに滑落。7合目で発見されましたが心肺停止の状態で、その後死亡が確認されました。

翌21日になり、吉田ルート下山道7合目公衆トイレ南東の沢で最初に滑落した男性が発見されましたが、心肺停止の状態であり、後に死亡が確認されました。

News!

毎日新聞の公式WEBサイトからの引用です。

富士山
男子学生死亡、60代男性が不明 9合目付近

2016年11月20日 14時57分(最終更新 11月21日 00時48分)

 20日午前10時ごろ、静岡・山梨県境付近の富士山須走ルート9合目付近で、登山中の10代の男子大学生から「自分ともう1人が100メートルほど滑落し骨折して動けない」と110番があった。静岡県警御殿場署によると、通報した大学生は通報後に再び滑落したとみられ、同日午後5時ごろ、ルートから外れた7合目付近で同署山岳遭難救助隊が見つけたが、死亡を確認した。一緒に滑落したとみられる60代男性は見つかっていない。

 同署によると、2人は広島、山口両県から来た6人グループのメンバーで、ほかの4人は自力で下山した。一行は同日午前6時ごろ、山梨県の富士吉田口6合目から山頂を目指して登り始めたとみられる。現場付近は積雪していたという。富士山山頂への四つの登山道は9月10日に閉鎖された。【古川幸奈】

産経新聞の公式WEBサイト、産経ニュースからの引用です。

死亡は山口県の18歳大学生 富士山の滑落事故

2016.11.21 09:50

 富士山須走ルート9合目付近で20日午前に男性2人が滑落した事故で、静岡県警御殿場署は21日、死亡したのは広島県の大学に通う末本伊武樹さん(18)=山口県光市=と明らかにした。県警は行方不明となっている広島市佐伯区の職業不詳、渡辺勝俊さん(64)を21日朝から捜索した。

 御殿場署によると、末本さんは午前10時ごろ、「骨折したようで動けない」と自力で110番したが、その後さらに滑落。7合目付近で見つかり、死亡が確認された。山頂手前で先に渡辺さんが滑り、安全な場所へ戻ろうとした末本さんも体勢を崩して滑落したという。

<以下略>

富士山で滑落、不明男性か 心肺停止状態で発見 山梨県警

2016.11.21 11:40

 山梨県警山岳救助隊は21日午前8時すぎ、同県富士吉田市の富士山吉田口下山道の7合目公衆トイレの南東の沢で、20日に滑落し、行方不明になっていた広島市佐伯区の渡辺勝俊さん(64)とみられる男性を発見した。男性は心肺停止状態だった。

<以下略>

男子大学生は救えなかったか

6人中2人の死亡者を出したこのパーティは、日本山岳会広島支部が募集したもので、65歳の男性は約40年の登山歴。男子学生も同会広島支部の学生クラブメンバーで、大学の山岳部員だったという。

悔やまれるのは、男子学生が1回目に滑落したときは骨折はしていたものの自分で通報できる状態であったのに、その後、何らかの理由で再度滑落したことである。なぜ2度目の滑落をしてしまったのか。このような場合を想定しての訓練、装備、他の隊員との意識の共有が出来ていたのか。「骨折したようで動けない」と自分で通報していることから、滑落停止地点から自ら動こうとしたとは考えづらいとはいえ、あくまで憶測と可能性だけの話ではあるが、最悪の事態は避け得たかも知れないと思うと悲しい。

News!

朝日新聞の公式WEBサイト、朝日新聞デジタルからの引用です。

富士山滑落死、一気に900m下 アイスバーン状態

2016年11月23日17時24分

 富士山での遭難事故が増えている。特に夏山期間以外の事故が多く、20日には須走口9合目付近で男性2人が滑落して死亡した。雪の凍った斜面から標高差約900メートルを一気に滑り落ちたとみられ、捜索に当たった県警は危険性を認識してほしいと注意を呼びかける。地元自治体からは積雪期などの登山の規制を求める声が上がっている。

 山梨県警富士吉田署によると、亡くなったのは山口県光市の大学生(18)と広島市の男性(65)。大学生は山岳部員で、男性は日本山岳会広島支部所属で登山歴約40年という。支部が同行者を募ったところ、大学生らが応じて計6人のパーティーだった。入山届けは支部に提出されていたが、山梨県警には出されていなかった。

 2日間にわたる捜索は、静岡・山梨両県警の山岳救助隊員延べ約50人が当たった。20日午後と21日午前、2人は滑落地点から標高900メートル下の斜面で相次いで見つかった。斜面の距離では約2キロという。65歳の男性は衣服が破れ、身につけていたはずのヘルメットやピッケルはなかった。滑落中に飛ばされたらしい。

 富士吉田署の井上久副署長は「一気に下まで滑落したと思う。9合目付近の斜面は雪が堅く凍結したアイスバーン状態で、スケートリンクのような感じ。一度スリップしたら止めるのは不可能だ」と話す。

 夏山期間(7~9月)以外の富…

<以下有料>

事故報告書の公開を望む

日本山岳会広島支部のサイトでは、事故報告書がパスワードが必要な会員ページ内にあり、会員以外は閲覧できない。会報は会員以外にも公開されているが、当該遭難事故については簡単な経過が書かれているだけで、事故原因などは読み取れない。

事故報告書と、山岳会としてとった行動、今後に向けた対策などは、他の登山者への啓発の意味も込めて広く公開していただけると良いのですが。

やはり、考えが甘かったのではないか

毎日新聞広島地方版では、日本山岳会広島支部の副支部長が報道陣の取材に対応したことが書かれている。それによると、「学生の登山技術向上を図る取り組みの一環」として富士山に登ったとあるが、厳冬期の富士山は、未熟練者が登る山ではないと思う。山頂付近に到達していたから「無理な計画ではなかった」とも言っているが、登山は結果が全てである。技術向上のためなのであれば、「ひとつのミスが命取り」となる富士山を選ぶべきではなかったと思う。

News!

毎日新聞の公式WEBサイトからの引用です。

富士山滑落
2人死亡 「悲しみに暮れている」 山岳仲間、生還の願いかなわず

毎日新聞2016年11月22日 地方版

<抜粋>

学生の登山技術向上を図る取り組みの一環として、氷や氷化した雪の上を歩く際の滑り止め「アイゼン」を装着するなど雪山に慣れるのが目的だった。

<抜粋>

副支部長は、午前10時ごろに山頂付近に到達していたことから、「事故までは登山は順調に推移していたと思う。無理な計画ではなかった」と話した。
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