HOME ページ選択 須走ルート投稿一覧須走口登山記録

文字サイズ

標準特大
LastUpdate 2016/04/28

須走ルート登山レポート

登山日~28日
天候雨のち曇り
投稿者富士さんぽ管理人 36歳 男
人数単独
プラン一泊日中登山
このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

富士さんぽ管理人による、須走口五合目~山頂~富士宮口五合目~御殿場口新五合目の登山レポートその1。

山頂ビバーク(露営)は寒さとの戦い

8月27日から28日にかけて登ってきました。
まず概要ですが、27日の昼前に須走の仮設駐車場からシャトルバスで須走口5合目へ。登頂は日が落ちた後になり、そのまま山頂でビバーク(露営)。夜明けと共に吉田ルートの8合目白雲荘まで一度降りて、そこから山頂に登り返し。富士宮ルートを降り、5合目へ。5合目から6合目へ登り返し、宝永火口縁から御殿庭(ごてんにわ)、双子山を経由して御殿場口新5合目へ。御殿場口から車道を歩いて須走の仮設駐車場へ28日の夜に戻りました。
またアホみたいな行程ですが、このサイトで使う写真の撮影と情報収集のためにこのようなことに・・・

27日 朝出発曇り26℃

富士山の天気予報は雨。東京はまだ降っておらず、いつも通り原付バイクで出発。神奈川県の松田あたりから雨が降ったりやんだりの状態で、こんな雨では登山者も少ないだろうと思いつつ仮設駐車場に着くと意外と多くの車が停まっている。写真の状態で4~5割程度の入りか。

5合目へのシャトルバスも、ほぼ満員。これで晴れていたら増発間違いない。富士山の人気を改めて思い知らされた。5合目に着くと雨は本降りになっている。それでも風が無いのが唯一の救い。

12:28登山開始無風16℃


樹林帯の6合下
(ピンボケ)

山小屋の撮影などで時間が掛かり、他のグループが先に登って行く。例によってゆっくり歩き出すが、マイカー規制の間はシャトルバスの到着時刻に登山者が集中するので、遅く出発した今回は一組の集団と前後した以外には抜いたり抜かれたりは無かった。須走ルートを登るのは4年ぶりとなるが、須走ルートの特徴である樹林の間を抜ける道は傾斜もさほどきつくなく、雨とはいえ比較的快適に登ることが出来た。

ちなみに私自身、雨の予報のときにあえて登山を決行したことはなく、唯一八ヶ岳の赤岳からの下山時に天気予報に反して雨に降られたことがあるだけだ。雨具は安物で、有る程度蒸れることを予想して5合目で長袖の上着を脱ぎ、シャツ一枚の上に雨具を着たが、途中で腕まくりはしたものの意外とさほどの不快さは感じなかった。やはり気温の低さゆえか?

6合目の長田山荘まで来るとツアー登山の集団などが休憩していたが、やはり登山者は少ない印象だ。雨と共に霧が時折行過ぎていくので視界は悪く、わき目も降らずにただ黙々と登るしかない。こういう登山もときにはいいかもしれない。個人的には霧の幻想的な雰囲気が好きだ。

3:427合目着曇り時々晴れ微風11℃

7合目まで来ると雨雲の上に出たのか、雲の間から陽が差すようになってきた。ここで軽く食事休憩に22分を使う。
富士山の登山道の中では、須走ルートが一番登りやすい気がする。5合目の標高は吉田口や富士宮口に比べると低いが、その分距離も長いため傾斜が急でなく、階段状になった岩場を登ることも無いためにスムーズに歩ける。
やや難易度が上がるのが、吉田ルートと合流したあとの8合目から9合目にかけてだろう。このあたりから傾斜がきつくなり、細かい砂利の乗った坂道は滑りやすい。実際に下山者が転倒するのを何度も見た。この辺りは登山道の幅が広いので、混雑していなければジグザグに昇り降りするのが最も安全だ。下りでは、身体を直立させると少し足を滑らせただけで簡単に後ろに倒れるので、軽く前傾姿勢にした方が良い。登りでは、膝は上げずに、すり足ぎみに足を出すと疲労が抑えられて良いので、これから登る人は実践してみてください。

8合5勺の御来光館を過ぎてからが最もキツイところ。登っても登っても山頂は近づかない。9合目の鳥居も、下から見ると山頂の鳥居かと勘違いするので、却って恨めしい。それでも着実に足を動かしていれば山頂に着くのだが、登り始めた時間が遅かったため夕陽を山頂で見ることは叶わず、登頂は日没後となった。

19:17山頂着曇り時々晴れ無風5℃

さて、これから朝まで山頂で過ごす事になる。空には満天の星。下界の雲によって都市の光が遮られることもあり、天の川もハッキリと分かる。星はいい。宇宙は広大だ・・・と思う間もなく、星は湧き出した雲に隠れてしまった。夜中の1時ごろになると雨が降り出した。富士山頂の夜を越えるために用意してきた、フリースジャンパー、登山用の薄手のダウン、オーバーズボンなどを全て身に着け、すっぽりとツェルト(非常用の簡易テント)に包まる・・・が、寒い。震えが止まらず温度計を見ると1℃。こんなサイトをやっているが、富士山を舐めてました。ごめんなさい。
本当にちょっとヤバイと思うくらいにガタガタと震えが止まらない。もちろん眠ることも出来ず、まんじりと長い夜をただひたすら耐える。唯一の救いは、保温水筒(2L)に暖かい紅茶を持って来ていたこと。家を出てからかなりの時間が経つが、まだまだ湯気が立つほど暖かい。ふと食料が残っていることを思い出して食事をとる。不思議と身体の震えはピタリと止まった。体内の熱エネルギーが不足していたのか?このあたり、調べてみると面白そうだ。山頂で御来光待ちをする予定のみなさん、食料と暖かい飲み物は必須ですぞ。

多少はうとうと出来ただろうか、夜明け前3時ごろになると周りが騒がしくなって来た。最初は個人のグループらしく少人数が行きかう様子だが、次第にツアー客が集まりだしたようだ。雨もやんでおり、ツェルトなどを片付けて起きる。4時ごろにはトイレに10mの列が出来るほどに。
そして、あれよあれよという間にどこからともなく人が湧き出すように増えてきた。シーズン終わり間近でもっと登山者は少ないかと思っていたが、さにあらず。足の踏み場もないほどに人が溢れかえる山頂に唖然。

ご来光は雲に遮られて見られなかったが、雲が赤く染まるさまはいつみても神々しい。

ふと、下を見ると登山道は大渋滞。下の山小屋前でご来光を見てから登って来た人々だろうか、それとも山頂で見るつもりが、ご来光に間に合わなかったのだろうか。8月末でこれでは、お盆休みのころは一体どうなっているのだろう。

総括

山頂まで掛かった時間は全体で6時間49分。食事休憩を除くと6時間27分で、標準コースタイム7時間に比べ、まずまずか。
山頂到着時点の飲料水消費量は800~900mlほど。天気が悪く肌寒いので、さほど消費しなかった。

このあと、吉田ルートの白雲荘まで降ってから山頂へ登り返すが割愛。下山は、登りに使った須走口へ下りずに、富士宮口五合目へと下る。

▲TOP

岩場の下山にご用心

28日 9:13下山開始

富士宮ルートに関しては、他のページでも下山に使うと膝など足に負担が大きいことは書いてきたが、実際にかなり傾斜が急で危険な下りとなっている。富士宮ルートでは一にも二にも、この岩場をどれだけ安全、確実に下れるかが鍵となる。

下山を始めると最初は比較的段差の大きくない岩場が続くが、写真を見れば分かるように岩の上に細かい砂が厚く積もっていて、不用意に足を載せると簡単に滑る。滑ると周りは尖った岩だらけだから怪我をする。切り傷、擦り傷ならまだいいが、変に足首を捻れば捻挫だ。登山中に捻挫をすると、大変な苦労をすることになるのは初心者でも想像できるはず。

9合目で空腹を覚えたので、20分の食事休憩の後、8合目へ。

ちょっと寄り道

8合目の池田館から、22分かけてちょっと寄り道をした。これはまた別のページで詳しく書く予定。

8合目発

この8合目の池田館直下から続く急で険しい岩場が、富士宮下山の一番の難所となる。私は今日もストックを使って登って来たが、このような岩場ではストック使用に拘ると危険だ。足場の悪いところではストックを2本束ねて片手に持つようにして、一方の手は安定した岩に手を添えて腰を屈め、慎重に降りるようにした方が良い。実際に、私は途中からストックをザックに仕舞って、両手を使えるようにして降りた。

写真の人ではないが、私の前にストックをずっと手放さない人がいて、疲労でふらふらしているのと相まってとても危なっかしい。

左の写真のように富士宮の登山道は幅も狭く、デコボコで穴だらけの岩のどこにストックを突けば安全なのかも分からないほど。不用意にストックを使うと岩の窪みに石突が引っ掛かり、バランスを崩して却って危険だ。ここではストックは片手持ちにするか、思い切って使わないようにするのが正解。

また、登山道を示すガイドロープは掴まないこと。しっかりと固定されているわけではないので容易に伸びて撓む(たわむ)ため、身体を支える役には立たない。いや、むしろ体重を掛けたロープが揺れて転倒を誘発させるだけだろう。

足を置く場所は、岩のエッジ(尖った角)に足の親指の下あたりを押し付けるようにすればほとんど滑ることは無い。岩の平らなところに足を載せると、むしろ砂で簡単に滑るので絶対に避けること。どうしてもそこに足を載せる必要があるときは、真上から足を下ろすこと。決してカカトから斜めに着地してはいけない。

このような岩場が7合目まで続くので、細心の注意が必要となる。(これらの降り方は、別途詳細を解説したページを作る予定です)

13:54富士宮口5合目着上空晴れ/下界曇り20℃

6合目から下は、砂地の平らな道で危険も無い。無事に5合目までたどり着いた。

総括

下りに掛かった時間は、全体で4時間41分。食事と寄り道の時間を除けば3時間59分。標準コースタイムの3時間15分からすると、約4時間というのはかなり時間が掛かっているが、これはこれで正しいペースだったと思う。下りでは決して急いではいけない。体力的に楽なので知らず知らずにペースが早まるが、意識的にスピードを落とす判断が大切となる。

昨日の登山開始からここまでの飲料水の消費量は、2.3L(リットル)ほど。山頂到着時に1L弱しか消費してなかったことを考えると下りにかなり消費したように見えるが、実際には山頂で夜を過ごしたときのあまりの寒さに、保温水筒に入れた紅茶で何度も身体を温めたためで、この天気なら1.5Lで足りたと思う。但し、天気が良かったら、やはり2L以上は用意した方がいい。

さらにここから、宝永火口縁、御殿庭、双子山を通り、御殿場口新5合目へ抜けるコースを取りますが、それは富士宮口のページへ続きます。

▲TOP