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LastUpdate 2016/04/28

ルート登山レポート

登山日
天候快晴
投稿者富士さんぽ管理人 36歳 男
人数単独
プラン日中日帰り+お鉢巡り
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富士さんぽ管理人による、富士宮口五合目~御殿場口六合目~山頂の登山レポート。

優しく雄大なプリンス

7月13日、プリンスルートを登ってきました。正確には、下山は登りと同じルートを降りてきたので、大砂走りは使っていない準プリンスルートです。

また、私のポリシーとして、山から見る景色の写真はほとんど載せていません。折角これから登る山の楽しみは取っておいた方がいいと思うからです。映画の予告編で見所を全て見てしまうようなものです。ぜひご自分の足で登って富士山からの眺めを堪能してください。

7月12日 夜自宅出発30℃

自宅を出発。交通手段は原付バイクです。途中、御殿場方面から来た場合、コンビニは陸上自衛隊駐屯地の手前にあるのが最後となりますので、食料品を現地調達する人は演習場のフェンスが左に見えたらUターンして戻ること。
ちなみに、私のトルクの細ったオンボロ原付で富士山スカイラインを走ると、時速30km弱にまでスピードが落ちるがなんとか登っていく。マネすることは薦めないが、もし原付で5合目を目指すなら後ろから登ってくる車には見通しのいい場所で止まって道を譲ること。ウインカーで明確に譲る意思を示すことも忘れずに。

13日 2:24富士宮口5合目駐車場快晴無風10℃

富士宮口新五合目に到着。駐車場は2段に分かれている。上の段はこの時点で7~8割。下の段は見なかったが、おそらく1~2割程度だろうか。トイレで小用を足す。ここは無料だが、おそらくボットン便所か?便器も個室も小さく体の大きい人や外人さんには狭いだろうと思う。なお、登山口登ってすぐのところに、有料(100円)だが新しくてキレイなトイレがある。中は見なかったが、キレイなトイレを使いたい人にはお金を払う価値はありそうだ。
軽く身体を温めて準備運動を行う。といっても気温10℃ではやはり寒く、身体は温まらない。それでも、やらないよりはずっとましだ。寒いので上は化繊の半袖Tシャツ、ネルの長袖シャツにフリースジャンパーを着て登山口に向かう。

3:03登山開始

本来は高山病対策として、1時間ぐらいは5合目でゆっくりするのがいいと言うが、30分だけで出発。なお、私は4年前に須走口から登ったときには高山病にならなかった。高山病対策の参考にならなくて申し訳ない。

登山口に向かうと声を掛けて来る人が。どうやら安全指導員?らしい。観光気分で軽装のまま登ろうとする人に警告する役目なのだろう。お仕事とはいえ、こんな真夜中にご苦労様です。

駐車場から最初は階段を登り、いよいよ登山道へ。足元は大きな岩もゴロゴロ転がっている砂利道だが、しばらくはセオリー通り靴一足分の歩幅でゆっくり登る。2人ぐらいの単独行者に抜かれるが気にしない。登山はスピード競争ではないのだ。

3:256合目着

雲海荘、宝永山荘が並んで建っている6合目に到着。ここで本来の富士宮コースと別れる。
ホンのちょっとだが、樹木の間を抜ける。いつも強風が吹くのか、松が寝ているように低くなっている。これが這松だろうか?草木には詳しくないので、分からない。やや下り気味の道で足場の悪い岩場を降りるところもあり、特に夜間は慎重に歩く必要があるだろう。

3:37宝永第一火口縁着

宝永第一火口縁に到着。ここで道が分岐しており、視界が開けているが夜の闇の中なので火口は見えず、ハンドライトで照らそうと・・・アクシデント発生!なんと、腰のケースに入れていたハンドライトが無い。ポケットやウエストバッグを探るが間違いなく落としたらしい。多分、バイクの前かトイレか・・・

ここで決断を迫られる。すでに東の空は少し明るくなってきており、日の出まで間がないことを告げている。しかし、この地点から先、宝永山の稜線に出るまで、その宝永山自体が壁になって日の出は見えない。戻るか・・・進むか・・・迷う・・・
俗に、「山で物を無くしても戻るな」とよく言われる。散々迷いながら、下した決断は、一先ず宝永山に登ってご来光を見て、また下って戻り、ライトを探そうということ。これはおそらく間違った判断だった。こうなった以上はご来光を諦めて先に戻るか、ライトを諦めて先に進むかだったろう。これで無駄に体力を消耗することになった。私は二重の間違いを犯したのだ。

こうなったら、急ぐしかない。ぐずぐずしていると、登ったはいいが、ご来光に間に合わないという最悪の展開が待っている。無理に急いだことは、3つ目の間違いだろう。私もまだまだ未熟である。しかし、太陽はそんな未熟者を待ってはくれない。どんどん明るく、赤さを増していく空に追い立てられるように、まずはしばらく下るとベンチが4つ、テーブルがひとつある広場に出た。どうやらそこから稜線に向けて谷間を登るようだ。左手には大きな火口が口を開けているはずだが、暗くてよく分からない。

予想外の難所、宝永山への登り

登り始めると、足元は岩がゴロゴロしている。5cmぐらいから、握りこぶし程度の大きさの小石だらけの道を慎重に登っていく。うっかりすると、躓いて捻挫しかねないので、ここは注意が必要だ。さらにしばらく登ると岩が小さくなり、砂利の道になってきた。それと共に道は急な斜面に。足を踏み出すたびザラザラと足が滑り、中々進めない。これが噂に聞く砂走りか?(実際には違う)
一歩ごとに滑り落ちると体力が削り取られていく。空はさらに明るくなり、もう稜線の向こうでは日が出ているのでは?と焦るが、どうにも進まない。仕方なく、3分の2ほど登ったところでザックをデポする。(※デポとは荷物を置いて登ることで、山頂直下のテントや山小屋に荷物を置いて必要最低限の荷物だけで楽に登れる)

他に登山者は誰もいないから、盗られることもないだろう。道の脇にザックを置いて、ウエストバッグだけで登る。ザックの重さがないだけ軽快になるが、まだ先は長い。それでも最後の曲がり角を左に折れると、稜線の上に標識が見えてくる。あと少し、もうひとふんばり、と力を振り絞ってやっと稜線にたどり着くと、東の空は真っ赤だ。あっ!と思ったが、太陽はまだ顔を出していない。ホッとして暫し空を見つめる。雲も少なく晴れている。その少ない雲は太陽に照らされて真っ赤だ。道の先には宝永山の山頂が黒々と大きく見えている。

(※教訓:薄明から日の出までは、30分以上の差がある。明るくなって来たからといって焦らないように)

4:24宝永山馬の背着


宝永山馬の背の標識
(下山時に撮影)

後で分かるのだが、どうやらこの滑りやすい坂道の登りがプリンスルートの最難関だったようだ。標識には『宝永山馬の背』とある。まさに馬の背のようなこの稜線に登りきった達成感もそこそこに、宝永山に向かう。

4:36宝永山登頂

しばらくの登りで風景指示盤のある山頂に出る。いや、風景指示盤は山頂から少し下った場所にあるようだ。山頂が緩やかなので、眺望のひらけた南側の切れ落ちた崖の上に設置されているようだ。宝永山は標高2,693m。富士宮口新五合目の2,380mから、まだ300mも登っていない。まだ道のりは長い・・・

宝永山山頂直下よりご来光を見る。下界はまだ雲の下に眠ったままだ。登ってきた甲斐があった。そそくさと山頂をあとに、馬の背に戻る。

5:23宝永第一火口縁着

休む間もなく、落としたライトを探しに下る。今さっき登った道をまた下るのはなんとも情けない。下りきると広場があって、そこからまた登り返しである。宝永第一火口縁に戻ると、すっかり夜の闇はどこかへ消えていた。このころには身体も充分温まって慣れてきているので、靴1足半分ぐらいの歩幅で歩いていた。

6合目に戻る途中で大きなカメラを持ったおじさんとすれ違う。さらに進むと・・・おっと、低木の枝に落としたライトが掛けられている。誰かが拾ってくれたのだろう。どうやら落下の衝撃でも壊れていないようでホッとする。もし駐車場で落としていたら、車に轢かれて粉々だったかもしれない。拾ってくれた方、ありがとうございます。山ではこういう親切や心遣いがありがたいものです。

道を戻り、すでに先に行っているおじさんに聞くと、拾ってくれたのはおじさんではないらしい。おじさんは手にカメラを持ち、こちらは軽装でもあり、道を譲ってもらって先を急ぐ。

6:34宝永山馬の背着

また火口縁の分岐を通り馬の背へ。2度目で疲れているのか、3分の2までは荷物も無く軽いはずが1回目よりも時間が掛かってしまった。しかし、夜が明けて見ると宝永火口は雄大だ。口の悪い人は、「富士山は景色が単調で、登ってもつまらない山だ」などと言うがとんでもない。富士山は登山口ごとに違う表情を見せるし、宝永火口を見ずに富士山を語れないと思う。やはり富士山は日本一の山だ。

6:34~56休憩微風18℃

馬の背に戻り、しばしの休憩を取る。いよいよプリンスルートへ入るが、標識には御殿場口6合目としかない。この先は御殿場口の下山道と交差するので、道を間違えないように気をつけよう。

6:56宝永山馬の背発

宝永山馬の背から富士山山頂を望むと、かなりの急傾斜で真っ直ぐ上に道が伸びている。しかし、これは予定しているコースではない。写真では分かりにくいが、稜線の途中でコースを塞ぐように白いロープが張られているので、無理に跨いでそのまま登らないように。

ロープの下まで来ると右の斜面に道が見えるので、トラバース(斜面の横断)しながら先へ進む。午前中なら御殿場ルートを下ってくる登山者が見えるかもしれない。ここは下山道と交わる辺りなので、慎重にコースをトレースすること。
また、日中天気の良い日であれば、この辺りから御殿場口六合目ぐらいまで、後ろの宝永山を振り返ると富士山有数の景色が眺められる場所が続く。少なくとも私にとっては、一番印象に残った雄大なパノラマだった。写真は載せないので、ぜひ自分の目で確かめて欲しい。標高を上げるごとに角度が変わる宝永山の稜線が、見事なうねりを見せてくれる。

しばらく斜面を横切りながら進むと、御殿場口下山道と合流する。ここから少しだけ下山道を逆走して登る。すぐにプリンスルートの岩場への分岐が右に出てくるので、見逃さないように注意。そのまま下山道を登ったら大変だ。

分岐には小さな看板が出ているが、目立たないので、視界の狭い夜間には特に慎重にヘッドライトの光を振り向けながら登らなければいけない。

ここで振り返らなかったらもったいない

分岐は下山道沿いに少し登り返し、下り六合の辺りで岩場へと入る。もし晴れていたら、この場所から宝永山を振り返ってみて欲しい。宝永山の稜線が龍が首を伸ばすように中空へと続いている。富士登山で見られる絶景の中でも、特に私が好きな景色のひとつである。

登山中は足元や前方ばかりに気を取られてしまうが、時々振り返ると、このような思いもかけない光景が得られる。これを見逃してしまうのは、とても惜しい。

この先は、開けた岩場が続く。ガイドロープもなくなるため、このコースの登りで恐らく唯一の道迷いの恐れがある箇所だろう。ルートは、黄色いペンキの矢印が岩に描かれているので、それを目印に辿ることになる。
迷ったら戻るのが鉄則。この場所は広い岩場だから、むやみに進むと落石の危険が大きい。決してコース外を歩かず、夜間に戻る道も見失ったら落石に気をつけながらその場で夜明けを待つぐらいの覚悟も必要。もちろん、コース上でも不意の落石に注意。直撃すれば、大怪我は免れない。

7:25御殿場口6合目着

岩場を抜けて御殿場口登山道に合流出来れば、この標識が立っているのが見える。ここが御殿場口6合目となる。

8:127合目着

御殿場ルートに入って、しばらくは歩きやすい道が続くが、徐々に岩が多くなってくると共に空気の薄さを実感し、息苦しさも感じ始めるころかも知れない。この辺りから道は九十九折れ(つづらおれ)となっているが、これは直登(ちょくとう:斜面を真っ直ぐ上に登ること)するには傾斜が急であり過ぎるからだ。それだけ山頂に近づいてきた証拠といえる。
やがて標高3,000mの看板を過ぎると下山道との分岐に差し掛かり、その上が7合目の『日の出館』となる。この日は、日の出館は営業していなかった。

ここまで御殿口新五合目から登ってくるとすると、標準コースタイムで5時間55分。今回のプリンスルートの実測で、落し物などせず、宝永山山頂も往復しなかったと仮定すると、2時間59分となった。
御殿場口新五合目からに比べ、3時間を短縮出来ることになる。二日掛かりの一泊登山では3時間の差は大したことはないが、山頂まで日帰りで計画すると、この差は大きい。(※一般に標準コースタイムに休憩時間などは含まれていませんが、私は小休止や中休止、写真撮影、景色を眺めるといった時間も登山に必然のものと考えて実測のコースタイムに含めています)

9:067合9勺着32℃(直射日光の当たるベンチの上)

御殿場ルートに入ると、他の登山者の姿をちらほら見るようになってきた。プリンスルートの間は、ほとんど自分だけだったのだが、このルートはまだまだマイナーであることが分かる。まぁ、登り始めた時間が深夜3時というのが他の人と違うのもあるが。
そのうち、若い男性2人組と追いつ追われつの関係になってくる。こうなると最初はゆっくりペースを保っていたものの、身体も慣れてきてエンジンが掛かってきたこともあり、若いものには負けられんという見栄もあるのか段々とペースが上がってきた。

9:06~9:28食事休憩

昨夜の食事から大分時間が経っていることに気づき、食事を摂る。ここまで行動食をこまめに摂っていたので腹が減っている感じはあまりないが、エネルギーとなる炭水化物を摂ることは大切だ。赤岩8合館のベンチを借りておにぎり2つを食べる。自分は小食だし、お腹一杯食べると運動が苦しくなるのでこれで十分。トイレ(300円)も借りてスッキリできた。御殿場口登山道は山小屋が少なく、当然トイレの間隔も開くので出せるときに出しておくことが大切だ。
ここで、本来はご来光待ちのときに飲もうと思って持ってきた保温水筒(サーモス:800ml)のホット紅茶を飲む。ムム!すっかり冷めている。家を出る前に、ちゃんと水筒自体を温めてから沸騰した紅茶を入れたのに、12時間ほどでぬるい水道水ほどの温度に。バイクで来たので、ザックの中とはいえ風の影響を受けたか?カバーなどで包んでおけば良かったかもしれない。

10:48山頂到着

山頂まではひたすら忍耐。疲れたら立ち止まって下界を振り返る。下は雲が多いが、切れ間からときどき伊豆半島と駿河湾が見える。若い2人組も追い上げてくる。ところどころに、まだ融け残った雪が見える。思わず足を止めて寝転びたくなる。それでも足を動かし続けていると、少しづつ少しづつ高度は上がり、やがて・・・見えた!鳥居だ!

やった~、やっと登頂だ!

~11:00休憩

がんばった甲斐があった。空は晴れてダイナミックな火口の底まで太陽が照らしている。写真を撮りながら、しばし身体を休める。
火口の中には、雪がまだ融け残っている。一年中融けない万年雪だろうか?

11:25剣ヶ峰着18℃

ここまで来たら最高地点を踏まないわけにはいかない。お鉢巡りを右回りで行う。最後の難関、岩に砂が乗った急斜面『馬の背』を滑りながらも慎重に登っていく。ここでコケて怪我する人は多いらしい。特に下りは危険なので必ず手袋着用のこと。足を滑らせて咄嗟に手を突くと、手のひらが擦り傷だらけになってしまう。
剣ヶ峰の石碑前は、シーズンの最盛期に写真撮影の順番を待つ行列が出来るというが、このときは空いていた。現在無人の旧富士山測候所の奥に展望台があるので、忘れずに上ってみよう。

剣ヶ峰を後に、右回り(時計回り)にお鉢めぐりを続ける。左回り(反時計回り)に行くと、馬の背を下りで使うことになり怪我するおそれが大きい。初心者の方には、吉田・須走口からでも右回りに進むことを薦めたい。

雲が上がってきて、下界はほとんど見えない。それでも、見る位置によって違う表情を見せる火口の周りを1周するのは楽しい。

12:22吉田・須走口登山道終点

吉田・須走ルート登山道終点の久須志神社や4軒並んだ山小屋のあたりまで来ると、とたんに賑やかさを増す。山頂に自動販売機まであるのは、さすがにやりすぎではないだろうか。別にどこかの都知事のように自動販売機を目の敵にするつもりはないが・・・

13:07御殿場口登山道終点

1周して、また戻ってきた。およそ2時間強。標準コースタイムが1時間50分だから少し遅い。但し、山小屋を回ったり撮影などした分を差し引けば、もっと早く回れるだろう。

下からは雲が湧き上がり、やや気がかりだ。午後になると天気が崩れるのは山の常識だから、あまりゆっくりもしていられない。

~13:23休憩

汗で落ちた日焼け止めを塗りなおして出発。富士山は、お鉢巡りがあるからいい。普通の山の山頂は狭いから長居することはあまりないが、お鉢巡りで富士山の山頂を堪能できる。さらば富士よ。また会う日まで・・・いや、まだ早い。これから長い下りが待っている。家に帰るまでが富士登山なのだ。山は下りが最も怪我をしやすい。気を抜かずに行こう。

14:19赤岩8合館着

御殿場ルートは、7合目まで登山道と下山道が同じだ。意外と上ってくる人も多い。驚くのは『トレイルランナー』だ。トレイルランナーとは、トレランとも略され、いわゆる山岳マラソンのようなスポーツをしている人々だ。ほとんど身一つで、雨具も持っていないかのような軽装が多い。転んで怪我をしたらどうするのだろう?なぞだ。

15:147合目下山道分岐着

標準コースタイムと比べてもらえると分かるが、私は下りは遅い。というよりも、わざとゆっくり下っている。実際に、山頂から下山を始めても、何組にも追い抜かれて、みんなすぐに見えない先に行ってしまう。だが、私は焦りもしなければ、悔しいとも思わない。なぜなら下りこそ最も慎重に進むべき難路だからだ。
普通の人は、「下りは登りよりも楽で、スピードも出せる」と思うだろう。だが、そこが落とし穴だ。膝を壊す人は、大概雑な足運びで駆け下りる。時にジャンプしながら駆け下りる人までいる。これではいけない。ランニングでも着地の衝撃は体重の3倍から5倍は掛かるという。ましてやジャンプなどしたら膝を痛めつけるためにやっているようなものだ。

富士山では、下山に3時間以上かかるのだ。3時間もの間、膝に衝撃を与え続けるわけにはいかない。初心者の皆さんには、下りこそ登りのとき以上に亀になることをお薦めする。色々適当なことを書いているサイトだが、これだけは絶対だ。忘れないで欲しい。

15:35宝永山馬の背着

どんどんと標高を下げてくると、雲とも霧ともつかない靄に包まれてくる。もはや景色を楽しめるような眺望はないが、このような霧の中も悪くない。特に御殿場ルートは、人も少なく、静寂が良く似合う。

御殿場ルートは、登山道と別れて下山専用道に入ると砂利が深くなる。ここまで来れば膝にも負担は少ない。ここにこそ、富士宮ルートではなく、プリンスルートを選ぶ理由がある。私は膝痛持ちだが、ストックを使ったせいか膝の痛みはまったく出ていない。どうやら、今回の富士登山は無事に成功しそうだ。そう、登山の成功とは登頂そのものよりも、「怪我無く無事に帰ること」なのだ。

と、油断していたら、またもやらかしてしまった。馬の背で休んでいるときに、時計を落としてしまった。それに気がついたのが宝永火口の底まで降りて、ベンチで一息ついたとき、というのがまた間が悪い。安物の時計ではあるが、山にゴミを残していくわけにはいかない。
なんと、今日一日で3回目の宝永山馬の背への登りである。こんなバカは、そうそういないだろう。だが、そのバカなおかげで、この滑る坂道を登るコツが掴めた気がする。

無事に時計も回収できた。山にゴミと命は捨ててはいけないのだ。

17:19宝永第一火口縁着

もう特に書くことも無い。やっとゴールが見えてきた。

17:31~6合目

この時間になると、すでに日が傾き、太陽も富士山の影に隠れようとしている。山の日暮れは早い。

18:15~富士宮口5合目

やっと5合目に帰着。あ~疲れた。

総括

登り4時間51分。下り3時間19分。合計8時間10分(食事などの大休止除く)の行程でした。大休止やお鉢巡り、落し物を取りに戻るなどを含めると、全行程で15時間12分となります。

飲み物は500mlの水を2本、スポーツドリンク500mlを1本。保温水筒のホット紅茶が800mlで、合計2.3L(リットル)。山頂到着時点で残り500mlとなり、下山途中の宝永山馬の背で飲み尽くしました。これは落し物など無駄な往復があったせいで、私の場合はこれで丁度良かったようです。

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