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LastUpdate 2016/04/28

プリンスルートの登り方

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プリンスルートの最難関、宝永山の登り方について。



宝永山の登り方

蟻地獄とは、こういうものか

他のページでも、比較的初心者向けのコースとしてプリンスルートを薦めてはいますが、このコースの難関は宝永山馬の背への登りでしょう。

この坂道は所謂砂走りと呼ばれるもので、急傾斜でなおかつ砂が厚く積もっているので、下るのは楽ですが登るときは足が滑って体力をいたく消耗します。ここで躓くと山頂への登頂にも影響してくるので、初心者の方にとってこの場所をうまく越えられるかが一つの試金石になると思います。

つまり、ここを体力に余裕を残して登れるようでなければ、結果的に登頂を果たせない恐れが出てきます。そこで、この斜面の攻略法を考えてみましょう。

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足の置き場所を考える

三歩進んで二歩下がる

宝永火口を左に見て進むと、最初は大きな岩がゴロゴロしたガレ場が続きますが徐々に岩が小さく砂混じりになり、いよいよ本格的な登りに入ると細かい砂と粗い砂が混ざり、時折コブシ大の石も混ざるようなザレ場に変わってきます。

傾斜は急で、足を踏み込んだそばから崩れて来て、足が埋もれてしまうほどです。何も考えずに登ると、3歩進むごとに2歩は足を滑らせてしまうことでしょう。

ですが良く見てください。砂の下の地面が黒く見えているところがありますね。これは他の登山者が下るときに踏みつけた跡です。
砂がえぐられて踏み固められるというほどではないにしても、その周囲よりは崩れにくい足場となっています。これを利用しない手はありません。

窪んだ足跡を足場に使おう

この滑りやすい斜面では左の図のように、他の登山者が残した足跡を階段のようにトレースする(踏んでいく)ことがポイントです。

これで100%滑らなくなるわけではありませんが、スリップが半分以下になるだけで体力の消耗はかなり抑えられます。

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ステップは小さく

砂の山は避けて歩こう

そして、足跡の周りは押し退けられた砂が大きく盛り上がっています。この砂の盛り上がったところに足を載せてしまうと特に滑りやすいので、ここを避ける必要があります。

足跡にとらわれ過ぎて、大股にならないように


ステップは小さく
(GIFアニメ)

特に女性、子供は歩幅が短いですから、うっかりするとこの盛り上がりを踏んでしまうことになります。但し、無理に他人の歩幅に合わせようとすると却って疲れますので、小さいステップを保ちながらも、足跡の周りの盛り上がった砂を踏まないような細心のステップワークを心がけてください。

滑りやすいところでは、1歩で距離を稼ごうとして歩幅が大きくなりがちですが、むしろ滑りやすい斜面ほど歩幅は小さくする方が滑りにくくなります。

左図のように靴1足分の歩幅を基本に、トレースを踏めるようでしたら、ときに靴1足の半分のステップでも構いません。大事なのは、より小さなステップで確実に足場を繋いでいくことです。この『確実に』というところがポイントで、滑るか滑らないか不確かな大きな一歩よりも、より確実な小さなステップを積み重ねることの方が結果的には楽なのです。

この違いは特に後半に利いてくるので、出だしで元気が有り余っているからといって無駄の多い歩き方で飛ばし過ぎてすぐにバテバテになるということのないように慎重に歩きましょう。

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静歩行

静歩行と動歩行

さらに大事なことは、足を踏み込む力をコントロールすることです。滑りやすいと、つい足に力が入りますが、それでは却って砂を踏み崩してしまいます。むしろ、踏み出す足は「そっと」置くだけ。後ろ足は強く蹴り出さずに、「スッと」持ち上げるだけにします。

しかし、そうすると勢いをつけて身体を持ち上げる歩き方が出来なくなります。そのような勢いをつけて重心移動と同時に前進を行う歩き方を『動歩行(どうほこう)』と呼びますが、動歩行は速く歩ける代わりに筋肉の力に頼るので、疲労も早くなります。

一方、重心を先に前足に移動させてから重心の抜けた後ろ足を前に進める歩き方を『静歩行(せいほこう)』と言います。静歩行では、重心移動を両足が地面についた状態で行うので、極めて安定感に優れた歩き方になります。

一般に、普段我々が行っている歩き方は動歩行ですが、特に滑りやすい場所では静歩行の方が、確実に歩を進めることが出来るのです。

膝の屈伸運動で登る

左の図では分かりやすいように階段を登っていますが、スロープの斜面でも同じことです。注意ごとも細かく書いていますが、これは膝や腰を痛めない為の基本的な約束事であり、実際の動作は決して複雑ではありません。

次の3ステップだけ覚えれば、あとはこの繰り返しです。

  1. 前足を段の上に載せる
  2. 前足に体重を載せる
  3. 前足の膝を伸ばす(勢いはつけない)

このように、難所では体力で押し切るよりも頭を使うことが大切です。頭を使うとは、「より楽な方法」を模索することです。

多くの人は、『より大変な方法』で登っているために、結果的に苦労して、『登山=体力が全て』という誤解を生み出しているのだと思います。それは同時に、「登山は苦しいもの」「登山は楽しくない」という情報として共有され、多くの人を登山から遠ざけてしまっている原因なのかも知れません。

Check Point!

膝や腰を痛めないために

  • 前足は強く踏み込まないこと
  • 歩幅は小さく、一歩で上がる高さも小さく
  • 上体を前傾させて前足に体重を載せるが、腰から曲げると腰に負担が掛かり腰痛の原因になる
  • 膝が爪先より前に出過ぎると膝関節に過剰な負荷が掛かり、膝を痛める原因になる(スクワットと同じ理由)
  • 膝を伸ばすときは、上体を起こして真っ直ぐ上に上げる

遅くも無いし、手間でもない

一動作ごとに手順を踏むので最初は動歩行よりは時間が掛かるでしょう。ですが、この歩き方が自然に出来るように身に着けば、リズムに乗ってテンポよく歩けるので、むしろスタミナの消耗が大きい動歩行よりも結果的には目的地に早く着けることでしょう。

実際に、この歩き方を実践するだけで想像以上に軽く登れるようになります。少なくとも私(当サイト管理人)は、劇的な効果を実感しています。この方法はとくに滑りやすい砂の斜面に有効で、宝永山だけでなく、二ッ塚(双子山)や吉田・須走ルートの滑りやすい砂の斜面でも同様に機能します。

それでは実践しましょうか・・・と、その前に

但し、この歩き方には、ひとつ問題がある、かも知れません。それは、膝へ負担が集中することです。

attention!

膝の使い過ぎに注意

確証は無いのですが、2013年に初めてこの歩き方を試してから、なぜか数ヵ月後に当サイト管理人は膝が痛くなりました。
7~8月に富士山に登って、痛くなったのは9~10月ですから、必ずしも関連があるのかは分かりませんが、階段の昇り降りが苦痛になるほどだったので、何かしらの影響があったものと自己判断しています。

なぜ膝が痛くなったのかは大体想像がつきます。それは、この歩き方では身体を上に持ち上げるときの体重が膝に集中して掛かるからです。

「だったら、このやり方使えないじゃん」

と、思うでしょうが、それは程度問題だと考えています。

私は、プリンスルートではなく、最も距離の長い御殿場ルートを、ほとんどこの歩き方で登りました。しかし、おかげで体力的には不安なく登頂出来ました。つまり、体力温存にはとても効果があったと感じています。ただ、ずっとこの歩き方を続けたのがいけなかったのでしょう。

どこかが楽になれば、他のどこかが負担を肩代わりするもののようです。この歩き方でいえば、足の筋肉の代わりに膝に負担が行ったわけです。であるならば、この歩き方をする必要が無い場所、つまりさほど滑らないような所では、普通の歩き方をすればいいということです。

宝永山の登りのような、「ここぞ!」という場面で試してみてください。

なお、なぜすぐに痛みが出なかったのか?そこは未だに謎です。(※今は、膝の痛みは全くありません)

もっと膝への負担も少なく体力的にも楽な別の方法は無いのか、今後とも研究を重ねたいと思っています。

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小休憩の取り方

休憩のはずが

砂の斜面では、中々座って休憩ということも出来ません。自ずと、立ちながらの小休憩になりますが、このときに片足を上の斜面にあげていたり、アキレス腱が伸びるような斜めの場所に足を置いていると、休憩のはずが却って足の筋肉を緊張させたままで疲労させてしまうことがあります。

これは、吉田・須走ルートの渋滞に並んでいるときも同様です。

立ちながらとはいえ、休憩のときは身体全体がリラックス出来ているかどうかを確認してみましょう。

足場を平らにならす

足元が平らでないのであれば、少し靴先で砂を掘って、平らに置けるように工夫することも効果的です。

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