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LastUpdate 2016/05/04

富士山 プリンスルート

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知られざる第五のルート。

プリンスルートとは

皇太子殿下の登山道

プリンスルートとは、皇太子徳仁親王殿下が平成20年(2008年)8月7日から8日にかけて富士登山をされた折にご利用になったルートです。

プリンス(Prince)とは、英語で『王子』を意味しますが、同様に『皇太子』の意味もあるために、この名称が一般化したようです。

ふたつのルートを跨ぐコース

プリンスルートは富士宮ルートから、御殿場ルートを繋いだルートです。なぜこのようなルートを取るかというと、それぞれの「いいとこ取り」が出来るからです。

つまり、富士宮口五合目の標高が他のルートよりも高いので山頂までの標高差が小さく、砂の載った岩場の多い同ルートよりも歩きやすく空いている御殿場ルートの6合目から上を利用出来るのです。

具体的なルートは、富士宮口五合目から登り始め、6合目の山小屋前を通って宝永山へのハイキングコースへ向かいます。宝永火口に降りて宝永山馬の背に出たら、トラバース(横断)ぎみに御殿場口六合目に抜けて、そのまま御殿場ルートで登頂します。

下山には、大砂走りを使って御殿場口新五合目に降ります。
御殿場口に下りずに、そのまま富士宮口五合目に降りることも出来ます。

プリンスルートの難所

プリンスルート攻略のコツは、宝永第一火口から宝永山馬の背までの滑りやすい砂礫の登り斜面で、いかに体力の消耗を防ぐかです。

そして、ご来光を目指して夜間に登る場合は、宝永馬の背から御殿場口六合目にかけての岩場でルートを見失わないように慎重な行動が求められます。この二点さえクリアすれば、その後は他のルートに比べて比較的安全に山頂まで登ることが可能です。

登山ルート
標高山頂3,706m
5合目2,380m
標準コースタイム登り6時間
下り*3時間30分
*2時間55分
標高差+1,386mコースタイム実例登り*4時間51分
下り*3時間19分
距離*6.4km
交通
バス登山バス3路線アクセス道路富士山スカイライン
最寄り駅
  • 新富士駅
  • 富士駅
  • 富士宮駅
  • 三島駅
  • 裾野駅
  • 御殿場駅
通行料無料
最寄バス停『富士宮口五合目』バス停駐車料/収容台数富士宮口無料/500台
水ヶ塚1,000円/1,000台
御殿場口無料/500台
*地理院地図』で管理人が計測。*御殿場口へ下山。*富士宮口へ下山。管理人による食事・トイレ以外の小・中休憩時間を含む実測(ストック使用)。※累積標高差とは、下り分を含めない登りの高度差のみを足した数値。
標準コースタイムは昭文社発行の『山と高原地図 富士山 御坂・愛鷹』2012年版から引用。基準として①40~50歳の登山経験者②2~5名のパーティ③山小屋利用を前提とした装備(テントを持たず比較的軽量という意味)④夏山の晴天時としています。※食事やトイレなどの休憩(大休止)を含まない正味の時間であり、休憩等を含む実際の登山ではさらに時間が掛かりますので、計画を立てる際には注意が必要です。
※このサイトにおける「山頂」とは各登山道の終点、つまりお鉢巡りコースとの合流地点とし、最高地点「剣ヶ峰」とは分けて表記しています。各登山道終点の標高は、こちら(静岡県/県道富士公園太郎坊線標高日本一)を参考にしています。
Check Point!

メリット(利点)

  • 富士宮口と同じ、5合目としては最も高い標高から登り始められる
  • 富士宮口登山道のような岩場を登るところがほとんどないので、特に下山時に安全かつ膝への負担が少ない
  • まだあまり知られておらず、時期を問わず登山者が少なく空いている
  • 宝永山、宝永火口、大砂走り、駿河湾、相模湾など、富士山のルート中でも最も景色が良く変化に富んでいる
  • 大砂走りを体験できる(御殿場口新五合目に下った場合)
  • 宝永山馬の背より上であれば、ほぼ、どこからでもご来光を見ることが出来る

デメリット(欠点)

  • 宝永火口から宝永山馬の背に登る斜面が滑りやすく、コツをつかまないと体力を消耗する
  • 宝永山馬の背から、御殿場口六合目までの岩場が、霧が出たときや夜間には道を見失いやすい
  • ルート上の山小屋が少なく、トイレ、物資の補給などに不便
  • 自家用車で来た場合、登山口と下山口が違うことから、車を取りに戻るために5合目間の余分な移動が必要になる(富士宮口に下山すれば問題なし)
  • 富士宮口六合目から宝永火口まで一度下るので、富士宮口よりは実質的な標高差は大きい

プリンスルート攻略のポイント

  • 宝永山への登りでいかに体力の消耗を抑えるかが成否を分ける
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オススメの登山計画

宝永火口は、昼間に通過したい

プリンスルートの魅力は、なんといっても宝永火口でしょう。しかし、日帰りで御来光を見ようと夜中に登り始める計画にした場合は、折角の絶景を見る機会がありません。ですので、御殿場口新五合目へ下るにしても、大砂走りに入る前に宝永山へ寄り道することをオススメします。

火口まで降りなくても、宝永山馬の背から眺めるだけでそのスケールの大きさが実感出来るでしょう。

宝永山からの御来光も、また素晴らしい

富士山山頂からの御来光に拘らないのであれば、夜明け前に登り始めて、宝永山山頂で御来光を見るのもまた一興です。早朝は真夏でも涼しいですから、暑さによる疲労も軽減できて一石二鳥です。気温は、標高が上がるほど下がりますから、午前中に出来るだけ上に上がってしまうのです。

富士宮口五合目へ下山する場合も、宝永第一火口縁から6合目へ登り返すよりも、宝永第二火口縁まで下って、駐車場東側へのバイパスルートで5合目へ抜ける方がオススメです。この第二火口縁から見上げる宝永山もまた高度感、スケールを感じられる素晴らしい景色ですから、見逃す手はありません。

Check Point!

オススメのコース選択・ビューポイント

  • 宝永山山頂へ寄り道しよう
  • 御殿場ルート大砂走りとの合流点上部から振り返って見る、宝永山の稜線は絶品
  • 夜明け前に登り始めて、宝永山で御来光を迎える計画も良い
  • 帰りは、宝永第二火口縁まで下って、宝永山を下から見上げてみよう(富士宮口五合目へ下りる場合)
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プリンスルート案内


プリンスルート概略図

注意点

プリンスルートは、登り下りで一箇所ずつ迷いやすいところがあります。山で道に迷うというのは、それだけで危険なことですから、登山時間が夜間であると否とに係わらず、どこが迷いやすいのか頭に入れておいてください。

※注意:以下の情報は、2011年時点の情報で書かれています。予告無くルートや標識が変更されている場合もありますのでご注意ください。

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宝永山馬の背から御殿場口への分岐まで

(前略)

宝永山馬の背から御殿場口登山道に抜けるまでの道は、御殿場口下山道を少し逆走したり、ガイドロープの無い岩場を通ります。晴天の昼間であればなんてことない道ですが、視界の限られる夜間や濃霧のときにはルートを見失わないように注意が必要です。

宝永山馬の背には道標(どうひょう)が立っているので、間違えることはありません。そこから宝永山の尾根に沿って、道標が指し示す『御殿場口六合目』方面を見上げると一筋の道が伸びており、途中で道を横切るようにロープが張られています。

宝永山の稜線を、富士山山頂側へ進む

このロープの先には道があるように見えますが、現在は使われていません。おそらく砂走館あたりに続いているのだと思いますが、斜面が急で、宝永火口の縁の上を歩くために危険だということで使われなくなったのだと思います。

ここでは、ロープに突き当たったら右へ折れるのが正解です。写真では分かりづらいですが、画面左に見えるのが尾根道とロープ。中央から右寄りに見えるのが、御殿場ルートの下山道です。
その下山道が「く」の字に折れているところから左のロープまで薄く弧を描いて伸びているのがプリンスルート、これから辿る道です。

御殿場ルートへ、少し下る

写真は、ロープの手前で御殿場ルート方向を向いたところです。画面左上から右下へ、何度か折れ曲がりながら続いているのが下山道です。

小さく白と黒の服を着た下山者が分かりますでしょうか?
その辺りが、御殿場口六合目へ抜ける岩場の入口です。

見落としやすい分岐

御殿場口下山道に合流して上を見上げると、20mほど先に右への分岐が見えます。

これは昼間ですから辛うじて分かりますが、夜間や濃霧のときにはとても目立たない分岐です。地図で予め分岐があることを確認していなければ、看板の存在にも気がつかないことでしょう。

ルートを間違うと、砂地獄

分岐を見逃してしまえば、滑りやすい下山道を延々登ることになります。ですから、私は口を酸っぱくして「富士山でも地図は必ず用意しましょう」と啓蒙しているのです。

参考までに、この下山道を遡ると7合目まで標準コースタイムで1時間20分掛かります。下りではわずか20分なので、どれだけ大変かが分かるでしょう。

下山道に入ったら、右に寄れ

分岐にある小さな看板です。これは2011年の写真ですから、今はもう少し目立つ看板に変更されているかも知れません。もちろん、そのままの可能性が高いですが。

この標識は道の真ん中に立っているわけではないので、夜間はライトを振り向けないと見つけられません。この下山道に合流したら、道の右側に沿うようにして歩きましょう。

ビューポイント

当サイト管理人が特に好きなのが、この御殿場口下山道から登山道へ抜ける合流地点の少し上に登った場所から宝永山を振り返って見た景色です。宝永山の稜線がくねる様は、なんとも言えないものがあります。

息も絶え絶えに登っていると足元ばかりに気が行って、振り返って周りの景色を見渡す余裕などないのが現実でしょう。ですが、それはあまりにももったいないことです。
富士山の本当の魅力を堪能せずに、「富士山はつまらなかった」などと言って欲しくはないのです。

プリンスルートを登るときは、ぜひこのポイントで宝永山を振り返ることを思い出してください。なお、午後にはガスってることが多いので(ガス=霧が出ること)、午前中の早い時間に通過する計画を立てることをオススメします。

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岩場の横断

夜間には道を見失いやすい

先の分岐を入ると、しばらく下山道沿いを登った後に、岩場をトラバース(斜面の横断)する道になります。

この先は、登山道を示すガイドロープは張られていません。岩に直接、黄色いペンキで矢印が描かれているだけです。

写真の落石注意の看板の右上に描かれた矢印に気がつきましたか?

夜間にこの目印を見つけ出す自信がありますか?

自信が無ければ、夜間にここを登ることのないように計画を手直しするべきでしょう。

落石注意

上を見上げると、岩がゴロゴロしています。ここでは落石にも注意が必要です。

「落石なんてどうやって注意すればいいんだ?」という人は、ここを通過する間はおしゃべりをやめて、耳を澄ませてください。
落石が起これば、「ガラガラ」という音で落石に気がつくでしょう。

ただし、雪がまだ斜面に残った時期ですと、雪の上を飛んでくる落石は音をあまり立てないので気がつくのが遅れることがあります。ですので、7月上旬の残雪がある時期は避けた方が安全です。

落石ははるか上から勢いをつけて落ちてくるので、コブシ大ぐらいの小さい石でも当たり所が悪ければ、失明、頭蓋骨骨折など重篤な障害を受けます。決して油断しないでください。

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御殿場口六合目から山頂

歩きやすい御殿場ルート

御殿場ルートに入ると、富士山の他の登山道に比べて平坦で歩きやすい道が続きます。砂が厚く積もったところも、傾斜が急でないので、さほど足を滑らせることもありません。
これは体力的に楽であるだけでなく、怪我のリスクも少ないことを意味します。

ただし、斜面の上部には大きな岩がゴロゴロしていて、落石の危険性は他の登山道と変わりありません。常に耳を澄ませ、集中しておく必要があるでしょう。

山頂から御来光を見るには、さらに移動が必要

御殿場ルートの山小屋は、7合目から8合目の間に集中して建っています。本当はもっとバラけていた方が登山者にとっては都合がいいのですが。

御殿場ルートは週末の夜明け前でも渋滞になることはまずありません。ですので、御来光までの時間が読みやすいですが、御殿場ルートの山頂地点からは日の出が見られません。ですので、登頂してから御来光スポットまでの移動時間を忘れずに計算に入れておきましょう。

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富士宮口五合目へ下る

プリンスルートは、登頂後は御殿場口登山道を下ります。そのまま道なりに御殿場口新五合目へ降りてもいいのですが、富士宮口五合目へ降りることも出来ます。自家用車で来た場合などは、富士宮口へ降りる方が利便性は高いでしょう。
その場合は、大砂走りの手前で宝永山方向へ逸れるので、大砂走りは体験できないことになります。

御殿場口登山道を日中に下る際は、ガイドロープに従って行けばさほど迷う心配はありません。しかし、富士宮口五合目へ下りる場合は、分岐をうっかり通り過ぎないように、慎重に降りる必要があります。

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宝永山への分岐

7合目下で下山道へ入る


下山道分岐


下山道分岐の道標
(上に見えるのが日の出館)

御殿場口七合目、『日の出館』の下で下山道が分岐しています。間違って登山道をそのまま下らないようにしましょう。ただし、御殿場口新五合目へ降りるのであれば、そのまま登山道を下っても支障ありません。

分岐の標識は、左側にある


御殿場ルート下山道
(左に見えるのが分岐の標識)

下山道に入ると砂利石と砂の道となりますが、ここはまだ『大砂走り』ではありません。夏の山は朝晩に霧が出やすく、写真のようにガスっている可能性が高いです(ガス=霧が出ること)。

霧が深いと分岐に気づかずに見逃してしまう恐れがあり、夜間であれば尚更分かりにくくなります。下山道の左側に分岐の目印となる道標がありますので、下山道に入ったら、ガイドロープに従って下山道の左側を降りるといいでしょう。

分岐が出て来るまでの時間を予測しよう

写真のような『下り六合』の道標が見えたら、すぐに右への分岐が現れます。ここをスルーしてしまうと、道はドンドン下って、登り返すのがしんどくなります。

この道標を絶対に見逃さないように、コースタイムで時間を計りながら「そろそろ分岐かな」というところでペースを落とすといいでしょう。

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宝永山を下る

マスク必須

宝永山から火口に下る道は、深い砂になっています。これは歩くときのクッションになって膝への負担が少なくていいのですが、だからといって大股に駆け下ると、やはり膝への負担は半端無いことになります。

こういう場所でも、基本の短い歩幅のステップを繰り返し、膝を伸ばして地面に鉛直(重力に対して真っ直ぐ)に足を着くようにしましょう。

それと、ここでは乱暴に歩くと砂埃も酷いです。自分では砂埃をあげないスムーズな歩き方をしていても、他の人は大概、盛大に砂を巻き上げて降りて来ますので、マスクを用意しておくといいでしょう。

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宝永山を見上げるビューポイント

見逃しやすいけど見逃せない

さて、宝永火口から第一火口縁まで来ると、そのまま6合目へ戻る人も多いものと思います。ですが、あえてここで第二火口縁まで下りてみましょう。

ここから見上げる宝永山も、スケール感、高度感が見事です。

登り返すのは大変

但し、第二火口縁まで下りると、第一火口縁への登り坂は滑りやすく急傾斜なために、ここを登り返すのは一苦労です。

むしろ、富士宮口五合目駐車場の東側にバイパスする道を通った方がいいでしょう。この道は森林を抜けるので、西日など強い陽射しが遮られて長い登山の最後の疲れを緩和してくれることでしょう。

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