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LastUpdate 2016/08/03

富士山 御殿場ルート

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雄大な景色を登り、大砂走りで下るルート。

御殿場ルート概要

日本とは思えない景色

御殿場ルートは、富士山を南東斜面から登る登山道で、5合目から富士山を登るルートとしては最も長い距離があります。登山口の標高も低いので、体力が無いと日帰りはとても厳しいです。しかし、それによって日本とは思えないようなスケールの大きい雄大な景色が堪能出来るとも言えます。

御殿場ルートの難所

兎に角、5合目から7合目までの距離が長く、途中で山小屋もトイレも無いのが難所と言うか、難点です。その一方で、岩場などの危険箇所は少なく、比較的安全なルートと言えるでしょう。但し、快晴のときは、山小屋や日陰などの逃げ場が無いので、熱中症や脱水症状には注意が必要です。

大砂走り

下山には、7合目から下で『大砂走り』と呼ばれる、砂が厚く堆積した道を下ります。岩場などに比べて膝への負担が和らげられるので、他のルートから登って、下山時だけ御殿場ルートを利用する人も多く居ます。

登山ルート
標高山頂3,706m
5合目1,440m
標準コースタイム登り8時間20分
下り3時間30分
標高差+2,266mコースタイム実例登り時間分
下り時間分
距離登り10.5km
下り
交通
バス登山バス1路線アクセス道路富士山スカイライン太郎坊線
最寄り駅
  • 御殿場駅
通行料無料
最寄バス停『御殿場口新五合目』バス停駐車料/収容台数無料/500台
標準コースタイムは昭文社発行の『山と高原地図 富士山 御坂・愛鷹』2012年版から引用。基準として①40~50歳の登山経験者②2~5名のパーティ③山小屋利用を前提とした装備(テントを持たず比較的軽量という意味)④夏山の晴天時としています。※食事やトイレなどの休憩(大休止)を含まない正味の時間であり、休憩等を含む実際の登山ではさらに時間が掛かりますので、計画を立てる際には注意が必要です。
※このサイトにおける「山頂」とは各登山道の終点、つまりお鉢巡りコースとの合流地点とし、最高地点「剣ヶ峰」とは分けて表記しています。各登山道終点の標高は、こちら(静岡県/県道富士公園太郎坊線標高日本一)を参考にしています。
Check Point!

メリット(利点)

  • まるで火星のような景色に息を呑む
  • 登山者が少なく、自分のペースで登れる
  • 夜明け前でも登山道の渋滞がほとんどないので、御来光登山には最適
  • 下山のときも山小屋を利用出来るので、トイレなどの心配が少ない

デメリット(欠点)

  • 距離が長い
  • 山小屋が少なく間隔も長いため、雷雨などに襲われると逃げ場が無い
  • 5合目から7合目まで、山小屋もトイレもない
  • 飲料水が大量に必要で、荷物が重くなる
  • 景色の変化に乏しい

御殿場ルート攻略のポイント

  • 体力と暑さ対策が必須
  • 暑い時間帯を避けるため、小屋泊まりでも夜明け前から登り始めるのが最適
  • 初心者は、小屋泊まりとすることで充分登ることが出来る
  • 飲料水の重さを軽減するために、山小屋で補充する計画にすると良い(※注意:但し、量を減らし過ぎると、途中で不足しても補給出来ないので危険)
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オススメの登山計画

必ず山小屋を予約しておこう

バス利用での日帰りは、事実上不可能です。マイカー規制が唯一行われないルートなので、マイカー登山には向いていると言えますが、それでも日帰りは時間的にギリギリです。初心者は、迷わず山小屋泊を前提に計画を立ててください。登山者は少ないですが、その分山小屋も少なく、収容出来る人数に限りがあるのは他のルートと同じです。空いているからと油断せず、必ず予約を入れた上で登山を開始しましょう。

登山道の渋滞が夜明け前でもほとんど無いので、御来光登山には最適なルートです。また、6合目から下では、ずっと平らな地面を歩くので、満月に近い夜であれば安全に月明かりの登山を楽しめます。

宝永山への寄り道も、高度差が少なく楽に往復出来るので、忘れずに見ておきたいオススメのポイントです。

Check Point!

オススメのコース選択・ビューポイント

  • 6合目から宝永山山頂へ寄り道してみましょう。但し、火口へ降りると登り返しがキツイ
  • 時間と体力に余裕があれば、御庭経由のコースも取れる。樹林帯もあり、直射日光に晒される時間が少ないメリットもあります。但し、宝永山への登りがキツイ
  • 足元ばかり見ていないで、時々振り返ってみましょう。刻々と高さを変えて見える、二ッ塚(双子山)、宝永山も見所
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御殿場ルート案内


御殿場ルート案内図

一般的に初心者向けではないと紹介されることが多い御殿場ルートですが、距離が長いだけで意外と登ることに難しさはありません。但し、初心者に日帰りは無理なので、山小屋に宿泊することが前提となります。

逆に、下山は楽なルートと思われていますが、深い砂に足をうずめながら長い距離を歩くのは、体力的、身体的な負担も相当なものです。走り降りる人も居ますが、あまりはしゃぎ過ぎると足を取られて捻挫など思わぬ怪我にもつながります。下山のときこそ、自分をコントロールすることが求められます。

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御殿場新五合目登山口

御殿場口の5合目には、売店の他にさしたる施設がありません。食事などをするのであれば、少し登って大石茶屋を利用するといいでしょう。

山小屋・施設

観光案内所/公衆トイレ


観光案内所/公衆トイレ
開設期間 案内所 2017年7月10日(月)~9月10日(日)
利用時間案内所[平日] 5:00~16:00
[土・日祝・お盆] 5:00~17:00
トイレ利用期間例年4月下旬~11月中旬(冬期閉鎖あり)
利用時間24時間
使用料無料:循環式水洗
その他AED有(自動体外式除細動器)
※当サイトは山小屋とは無関係な個人が運営しており、上記情報は各山小屋の公式サイトや直接問い合わせするなどで得たその時点における情報であり、内容について一切保証・補償は出来ません。※営業期間、営業時間などは目安であり、天候、曜日、時期などにより変更される場合があります。

富士急小屋 ハーフマウンテン

土産物やお菓子などを販売していますが、食事は摂れません。


富士急小屋 ハーフマウンテン
営業期間 2017年不明
営業時間*9:00~17:00
宿泊収容人数売店のみ
トイレなし
自動販売機200円
水ボトル200円
500ml250円
その他公衆電話
※当サイトは山小屋とは無関係な個人が運営しており、上記情報は各山小屋の公式サイトや直接問い合わせするなどで得たその時点における情報であり、内容について一切保証・補償は出来ません。※営業期間、営業時間などは目安であり、天候、曜日、時期などにより変更される場合があります。
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5合目~次郎坊(5合5勺)

大石茶屋まで

5合目から15分ほど登ると、大石茶屋に到着です。ここまでの道は砂で滑りやすいですが、傾斜はまだまだ序の口なので、ゆっくり歩けば大して問題にはならないでしょう。むしろ、この程度でゼェハァ言っているようでは、この先が心配になります。

山小屋・施設

大石茶屋


大石茶屋
営業期間2017年~9月10日(日)/[宿泊] ~9日(土)
営業時間食堂売店
宿泊収容人数50名
チェックインIN
消灯
OUT
トイレ使用料[宿泊者] 無料/[一般] 100円:水洗
その他 荷物預り200円
更衣室有
お湯販売100~200円
宅急便送(手数料200円・着払い限定)
※当サイトは山小屋とは無関係な個人が運営しており、上記情報は各山小屋の公式サイトや直接問い合わせするなどで得たその時点における情報であり、内容について一切保証・補償は出来ません。※営業期間、営業時間などは目安であり、天候、曜日、時期などにより変更される場合があります。

本当のスタートはここから

大石茶屋の奥から、本当の登山が始まります。出だしから登山道と下山道が別れているので、間違えないようにしましょう。

Check Point!

双子山ハイキングコース入口

二ッ塚(双子山)へ行く道は、大石茶屋奥のロープを越えていきます。晴れていればハイキングコースとして最適です。

最初のころは、道の脇は植物を見かけます。時期によっては、ふじあざみなどの花が咲いています。

砂の殿堂

御殿場ルートは、6合目までとにかく砂砂砂です。下山道は右に見えていますが、登山道は砂が払い除けられているので歩きやすくなっています。

初めのころは体力があるので、ついつい急ぎ足になりがちです。他の登山者に追い抜かれると、「負けてられない」とペースアップしたくなるのも分かりますが、まだまだ先は長いのですから、体力を温存することが大事です。マラソンを100m走のスピードで走る人は居ないですよね。歩幅を靴一足分に抑え、ゆっくりゆっくり登って行きましょう。

次郎坊で道を間違える人多数

何度も左右に折れながら、徐々に高度を上げていきます。最初の分岐となる次郎坊にジリジリと近づいて行きますが、すぐそこに見えているのに中々辿り着かないのがもどかしく感じるでしょう。でも、焦ることはありません。ゆっくりでも、確実に近づいているのですから。

やがて、ブルドーザーの通る道(ブル道)と交差します。昼間なら間違えることはないですが、夜に登ると視界が狭いので、通行禁止の標識に気がつかずに間違えて登ってしまう人が居ます。それは、ブル道の次に出てくる下山道との交差地点でも同じです。

実際に、私が2013年に御殿場ルートを登山したときには、夜になって下山道を間違えて登ってくる人が大勢居ました。急傾斜を一直線に降下する大砂走りを逆行するのと、九十九折(つづらおれ)で登っていく登山道では、体力の消耗度が大きく違います。夜間に登る人は、充分注意してください。

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次郎坊~6合目

次郎坊を越えたところから、傾斜がキツクなって来ます。地面の砂も払い除けられていないので、街中で歩くように後ろ足を蹴るような歩き方をすると、ズルズルと足が滑って体力を消耗します。足は優しくそっと「置いていく」ような感じで、歩幅も靴一足分のペースを守りましょう。この歩き方さえ出来れば、初心者でも十分に登頂出来ます。逆に言えば、ここで体力に任せて雑な歩き方をしていると、登頂は難しいでしょう。

この辺りで、ようやく2,000mです。須走口五合目と同じぐらいの標高ですね。

旧二合八勺中継小屋

やがて、このような大自然に不釣合いの、コンクリートで出来た白い建物が視界に入って来ます。これが、旧二合八勺の中継小屋です。これは、気象庁が山頂で行っていた観測所に登る観測員が、冬期に登るときの中継地点として利用したものです。今では山頂での有人観測は行われていませんので、廃墟のようになっています(※2013年に取り壊されたとの情報あり)。

この中継小屋は、実際には下山道の向こうにあるのですが、トラバース(横断)の道があるので下山道までエスケープすることが出来ます。

Check Point!

須山口下山歩道分岐

道は不明瞭

この中継小屋から、須山口登山道が分岐しています。水ヶ塚や二ッ塚(双子山)の登り口へ道が続いています。但し、踏み跡もガイドロープも無いので、霧が深いときなどは道迷いの危険性があります。

ブル道交差点

さらにジリジリと登って行くと、またブル道との交差があります。この先も何度かありますが、迷い込まないようにしましょう。

新六合目山小屋(休業中)

さらに登って行くと、6合目に到着です。石柱には、5合目とありますが・・・

青いトタンの建物は、今は休業している6合目小屋です。ここも見晴らしがいいので、お昼休憩に最適です。

ブル道交差点

またブル道との交差点が出て来ました。「またかよ」と思うでしょうが、ここが一番間違いやすいです。写真の中央下から右へブル道が伸びていますが、その左側にブル道に沿うようにガイドロープが張られているのが分かりますか?これに気がつかないと、深い砂でズルズルのブル道を7合目まで登らされることになります。

御殿場口六合目

やがて厚く堆積していた砂も徐々に少なくなり、平らだった斜面も起伏が大きく見通しが悪くなってくると、そろそろ御殿場口六合目に到着です。

え?
「1時間も前に、新六合目を通過したじゃないか」って?

それが富士山マジックです(笑)富士山の合目表記は、時代と共に移り変わっていくので、惑わされてはいけません。

Check Point!

プリンスルート分岐

この御殿場口六合目から、左方向へ登山道が分岐しています。これは、御殿場口下山道へのバイパスなのですが、富士宮口から宝永山馬の背を経由して御殿場口へと続くプリンスルートは、この道を通ります。

この先は岩場で、道標やガイドロープはありません。岩に黄色いペンキで矢印が描いてありますが、夜間や濃霧のときは道をロストする可能性があります。宝永山へ寄り道するときはこの道を辿りますが、夜や霧が深いときに宝永山へ行っても何も楽しくありません。霧が出ていたら無理をせず、帰り道で晴れていることを祈りましょう。

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6~7合目

これまでと様相が一変

6合目から先は、これまでに比べるとハイキングのように楽になります。ですが、斜面の上には大きな岩がゴロゴロしています。落石には十分注意してください。

「落石なんてどうやって注意すればいいんだよ」という方は、おしゃべりに夢中にならずに、耳に意識を集中しましょう。但し、残雪が残っている時期ですと、落石は雪の上を音も立てずに転がって来ます。足元ばかりに目をやらず、視線をあげて歩くことを心がけてください。

七合目下山道分岐

岩場の上に建物が見えてくると、いよいよ7合目に到着です。日の出館の直下に下山道への分岐があります。下山道は下っていますから登山道と間違えることはありませんが、帰りのときのために、少し上から振り返ってこの場所をよく覚えておいてください。

7合目に入ると、短い間隔で山小屋が連なっています。ようやく、ほっと一息つける場所まで登って来たという実感がわくことでしょう。

山小屋・施設

日の出館

日の出館は、2012年に雪崩で小屋の一部が破損して休業していました。2014年には営業を再開する予定のようです。


日の出館
営業期間 2017年休館
営業時間売店
宿泊収容人数150名
チェックインIN
消灯
OUT
トイレ使用料
その他
※当サイトは山小屋とは無関係な個人が運営しており、上記情報は各山小屋の公式サイトや直接問い合わせするなどで得たその時点における情報であり、内容について一切保証・補償は出来ません。※営業期間、営業時間などは目安であり、天候、曜日、時期などにより変更される場合があります。

わらじ館

富士山で恐らく唯一の、マッサージが受けられる山小屋です。ここまでの疲れを揉み解してもらいましょう。


わらじ館
営業期間2017年7月1日(土)~9月10日(日)
(※注意:静岡県富士登山期間以外は原則山岳保険加入者のみ利用可能)
予約受付2017年 [電話] 4月1日より・[メール] 随時
営業時間売店日の出~20:00
食堂宿泊客が出立後~16:00
宿泊収容人数個室なし45名
チェックインIN17:00までに到着
消灯20:00
OUT
トイレ使用料[宿泊者] 無料/[一般] 300円:バイオ
その他 更衣室無
荷物預り[宿泊客のみ] 無料
貸しザック(軽量アタックザック)金額不明
一時休憩仮眠可1,000円/1時間
マッサージ[両ふくらはぎ] 1,000円/[全身] 4,000円他
貸しストック500円/1本・1,000円/2本
着替え[レンタル] 2,000円
※当サイトは山小屋とは無関係な個人が運営しており、上記情報は各山小屋の公式サイトや直接問い合わせするなどで得たその時点における情報であり、内容について一切保証・補償は出来ません。※営業期間、営業時間などは目安であり、天候、曜日、時期などにより変更される場合があります。

砂走館

次の赤岩八合館は山小屋の前のスペースが狭いので、食事休憩等はここで済ましておいた方がいいでしょう。赤岩八合館とは姉妹館なので、メニューなどに違いは有りません。


砂走館
営業期間 2017年7月4日(火)~8月31日(木)
予約受付随時
営業時間売店日の出~21:00
宿泊収容人数個室なし150名
チェックインIN~16:00
消灯21:00
OUT
トイレ使用料300円:バイオ[洋式2]
その他 更衣室無
荷物預り[宿泊客のみ] 無料
一時休憩仮眠可1,000円/1時間(日中のみ)
お湯販売100円/100ml
携帯充電有料
酸素測定無料(パルスオキシメーターで血中酸素濃度の計測)
AED有(自動体外式除細動器)
※当サイトは山小屋とは無関係な個人が運営しており、上記情報は各山小屋の公式サイトや直接問い合わせするなどで得たその時点における情報であり、内容について一切保証・補償は出来ません。※営業期間、営業時間などは目安であり、天候、曜日、時期などにより変更される場合があります。
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7~8合目

空気が薄くなって来た

6合目からと同じ道ですが、標高が上がった分だけ空気が薄くなっていることをお忘れなく。

頭痛や疲労を感じたら、ペースオーバーです。サカサカ歩いて休憩、サカサカ歩いて休憩、ではなく、疲労を感じないぐらいにペースを落とすのが正解です。結果的に、その方が無駄に長い休憩が減って早く山頂へ着けます。

山小屋・施設

赤岩八合館

山小屋の前のスペースが狭いので、食事休憩等は、ひとつ下の砂走館で済まして来た方がいいでしょう。砂走館とは姉妹館なので、メニューなどに違いは有りません。


赤岩八合館
営業期間 2017年7月1日(土)~9月3日(日)
予約受付随時
営業時間売店日の出~21:00
宿泊収容人数個室なし150名
チェックインIN~16:00
消灯21:00
OUT
トイレ使用料300円:バイオ
その他 更衣室無
荷物預り[宿泊客のみ] 無料
一時休憩仮眠可1,000円/1時間(日中のみ)
お湯販売100円/100ml
※当サイトは山小屋とは無関係な個人が運営しており、上記情報は各山小屋の公式サイトや直接問い合わせするなどで得たその時点における情報であり、内容について一切保証・補償は出来ません。※営業期間、営業時間などは目安であり、天候、曜日、時期などにより変更される場合があります。

最後の山小屋、赤岩八合館を過ぎたら、山頂も目の前・・・ではありません。

8合目見晴館の山小屋跡を横目に見ながら、先へ進みます。

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8合目~山頂

長田尾根の歴史

8合目を越えると、登山道の上に長田(おさだ)尾根登山路建設の記念碑が建っています。長田尾根は、富士山測候所観測員の長田輝雄さんに因んで名付けられたもののようです。

長田尾根登山路というのは、夏の登山者が登るルートではありません。かつて、山頂にある気象庁の測候所で有人観測が行われていたころ、冬期に観測員が交替などで登るために鉄柵が設置されました。富士山の冬は強風とアイスバーンの斜面で滑落事故が絶えなかったために、その鉄柵に掴まって安全を確保していたのです。

その鉄柵は、有人観測の終了後もしばらくは残されていたようですが、遭難事故を誘発した可能性があるということからか、今では撤去されています。今でも剣ヶ峰に残る鉄柵は、長田尾根から一続きになっていたようです。

鉄柵は撤去されて、記念碑だけが残ったわけですが、その鉄柵は記念碑のすぐ右側を通っていました(リンク先画像参照)。富士山には、有史以来様々な登山者の歴史が刻まれています。これもそのひとつということですね。

碑文

遭難碑

大智禅師の漢詩を刻んだ遭難碑が登山道の脇に建っています。

富士山

大智禅師

巍然独露白雲間
雪気誰人不覚寒
八面都無向背處
従空突出与人看

方壁俊郎二十五才
岩城教康二十才 遭難地

昭和二十五年一月七日

香淋書

落石注意

8合目から上で気をつけるべきは、落石です。写真のように、登山道の上には大小多くの岩が連なり、いつ崩れて来てもおかしくありません。

一方で、登山道自体の傾斜は他のルートに比べても緩やかで、足元はガレてはいるものの大きな段差を越えるような場面もないので、ちゃんと段差の少ないステップを選びながら登れれば、8合目から上のルートとしては最も体力的に楽でしょう。

谷間を登る

山頂には、白木の鳥居が建っているのですが、下の方からは中々見えません。山頂への道が谷間を通っているためです。ですので、鳥居が目視出来るところまで来たら、山頂まであとわずかであると分かるでしょう。

御殿場口山頂

そして、鳥居に辿り着いたらそこが山頂です。御殿場ルートは、距離は長いですがその分登頂したときの達成感も大きいでしょう。登山初心者の方は、いきなり御殿場ルートに挑むのではなく、まず他の山で経験を積んで、あるいは富士山の他のルートを登るなりしてから挑戦してみるのがいいかも知れません。それだけの登る価値があるルートだと思います。

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下山


御殿場ルート案内図

登る時間は他のルートの1.5倍はある御殿場ルートですが、下山に掛かる時間は他のルートと同じぐらいです。これは、吉田ルートなどの下山道が九十九折(つづらおれ)で下っていくのに対し、御殿場ルートの大砂走りは、ほぼ一直線に下っていくことによる違いです。

Check Point!

下りに備えよう

登山をしない人にはあまり知られていませんが、実は、登山では登りよりも下りの方が難しく危険です。下りで転ぶと、斜面下方向へ勢いがついてしまうからです。

登山の警句として、「登りで体力を使い果たすようではいけない」と言われるのも、山頂がまだ折り返し地点に過ぎないと共に、そういう一面があるからです。

全力を使い果たして足元がフラフラになって登頂しても、そこがゴールではありません。その先には下山という難事が待っているので、最低でも登り6に対して下り4ぐらいの体力を残したペース配分(6:4)が必要とされています。まぁ、それは理想だとしても、現実として足が立たないほど疲労して救助要請をするというプチ遭難も数多く発生しています。みなさんは、そのようなことの無いように、ペース配分をシッカリ考えて登ってください。

転倒にも備える

下りでは転倒しないように注意することは当然ですが、万が一転んでもいいように備えることも同様に大切です。

登りのときほど汗もかかないので、ウィンドーブレーカーなどの長袖、長ズボンと共に、手袋をはめましょう。手も汗をかくので、防水性の手袋よりも軍手など通気性の高いものがより適しています。

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山頂~7合目

御殿場ルートは、7合目の日の出館下まで登山道をそのまま下ります。

足の置き場所を見極めよう

登ってくるときはさほど意識しなかったと思いますが、御殿場ルートも上部では多くの石が地面に転がっています。これらの石は、「浮石(うきいし)」という、足で踏めば動いてしまうものです。足場としては使えないので、シッカリ足元を見て、避けて歩いてください。

大砂走り分岐

日の出館のすぐ下で、下山道への分岐となります。真っ直ぐ進めばいいので間違える人は少ないでしょうが、自分の現在位置は常に確認して、分岐も予め予測して行動することが大事です。

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7~5合目

宝永山へ寄るなら標識を見逃さないように

下山道に入っても、すぐに大砂走りというわけではありません。厚く砂が堆積していますが、砂の中に大きな石が混じっています。あまり飛ばすと石を踏んで転倒しますので、油断しないように。

しばらく下りると、下り六合の標識と共に、宝永山分岐が右に出て来ます。宝永山へ寄り道する人は、見逃さないようにしましょう。ここは、霧が出ていると標識も見逃しやすいので、標識のある左側のガイドロープに沿って歩くといいでしょう。

Check Point!

砂埃がすごい

マスクを忘れずに

高所では乾燥しているために下山者によって砂埃が巻き上げられます。これは前日に雨が降っていても当日が晴れていれば大して変わりありません。日本手ぬぐいなどでマスクをし、コンタクト使用者は防護メガネなどをかけた方がいいでしょう。

プラスチックレンズの眼鏡やサングラスも、飛んできた砂粒で傷だらけになる恐れが有ります。富士登山には、使い古しの眼鏡を使用することをオススメします。

砂埃を巻き上げない歩き方

また、足捌きのうまい人は、あまり砂埃を巻き上げません。逆に初心者はドタドタバタバタと盛大に砂煙をあげて降りて来ます。このように歩き方ひとつでベテランかそうでないか見分けがつきます。これは、単に砂埃がどうこうだけではなく、それだけ足に衝撃が掛からない歩き方が出来ているかどうかの指標にもなります。他の人の下り方を見て、「あの人はうまい歩き方だな」と思ったら、遠慮なくマネしてみましょう。

晴れていれば最高の景色

徐々に岩が混じらなくなってくれば、いよいよ大砂走りです。ここは豪快に駆け下ることも出来ますが、長い距離をずっと走って降りるのはオススメしません。砂がクッションになって膝への負担は少ないですが、足首まで埋まる砂に足を取られて捻挫などの恐れもあるからです。

むしろ、晴れていたら下界の景色を堪能してください。下に見える双子山や遠くに霞む山並みなど、見ていて飽きることがありません。

5合目上の大石茶屋に着いたら、カキ氷でも食べながら、富士登山の思い出を振り返るもいいでしょう。ご苦労様でした。

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