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LastUpdate 2016/05/04

富士山須走口旧馬返から登る

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須走口を旧馬返から5合目まで登る須走キャニオンルートを解説します。



須走キャニオンルートの概要


グランドキャニオン
(マウスオンで表示)

須走口は、かつて馬返しと呼ばれていた場所から5合目まで登ることも出来ます。但し、ここで紹介するルートは、かつての登山道ではありません。かつての登山道は、グランドキャニオンを通らずに、その手前の浅い谷を登り詰めて行きます。そちらは、今では廃道寸前で、登山初心者の方にはオススメ出来ません。

ここで紹介するルートは、グランドキャニオンと呼ばれる谷間の道を通り、その峡谷の崖の上に出て森を抜け、粗い砂と小石だらけの尾根を延々と登る厳しめのルートです。道標などは一切無いので、ルートファインディングが出来ないと、道に迷う恐れがあります。地図とコンパスは必ず携帯してください。

なお、須走キャニオンルートとは、吉田口の馬返と紛らわしいので当サイトで勝手につけた名前です。

登山ルート
標高5合目1,970m
旧馬返1,366m
標準コースタイム登り2時間5分
下り1時間30分
標高差624mコースタイム実例登り時間分
下り時間分
距離*大よそ4km
交通
バス登山バス1路線アクセス道路ふじあざみライン
最寄り駅
  • 御殿場駅
通行料無料
最寄バス停『馬返し』バス停駐車料/収容台数駐車場なし
*地理院地図』で管理人が計測。*管理人による食事・トイレ以外の小・中休憩時間を含む実測(ストック不使用)。
標準コースタイムは昭文社発行の『山と高原地図 富士山 御坂・愛鷹』2012年版から引用。基準として①40~50歳の登山経験者②2~5名のパーティ③山小屋利用を前提とした装備(テントを持たず比較的軽量という意味)④夏山の晴天時としています。※食事やトイレなどの休憩(大休止)を含まない正味の時間であり、休憩等を含む実際の登山ではさらに時間が掛かりますので、計画を立てる際には注意が必要です。
▲TOP

馬返しバス停:1,366m

かつては、ふじあざみラインの入口辺りから登山道が続いていたはずですが、旧馬返(きゅううまがえし)より下は現在廃道になっていて、痕跡も辿れない状況です。旧馬返まで車道を歩いて来る事も出来ますが、距離も長く、歩道も無いので、バスを利用するのが無難です。

旧馬返には、駐車場が無いので、バスかタクシーを利用する以外にありません。この場所でタクシーをつかまえるのは難しいので、帰りのバスに乗り遅れないように注意してください。

この周囲にはトイレも何もありません。

旧馬返
標高1,366m
駐車場なし
トイレなし
自動販売機なし
公衆電話なし
登山ポストあり

登山道の入口はここではない

旧馬返の石柱の脇には、旧登山道の石柱も建っています。その間に道があり、進むと建物がありますが、ここで立入禁止のロープが道を封鎖しています。ここは素直に引き返して、車道をグランドキャニオン入口まで5合目方向へ登りましょう。その際は、猛スピードで下ってくる車に充分注意してください。

登山ポスト

車道の脇には、登山ポストがあります。しかし、すでに長いこと使われていない様子です。ゲゲゲのゲ。

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グランドキャニオン入口

距離にして300m、およそ5分ほど登ると、道の右側にグランドキャニオンと彫られた石柱が建っています。須走キャニオンルートの登山道入口は、ここになります。馬返しバス停と同じく、車を停めるスペースはありません。

石柱を左に見て、道が伸びています。そちらへ行くと、また立入禁止のロープが道を塞いでいます。それではと引き返して車道に戻ると、右斜め前に、別の道が伸びているのが見つかるでしょう。ですが、この道は登山道ではありません。そのまま進んでも、また車道に戻ってしまう意味不明な道です。

Check Point!

グランドキャニオンの行き方

グランドキャニオンまでの道は、道標など一切無いので、私も最初は迷いました。少し道を外れると、深い森の中でとたんに方向感化を失います。地図やコンパスを用意してもらいたいですが、もし迷ったら落ち着いて耳を澄ませてください。車道を走る車の音が聞こえるまで。

さて、グランドキャニオンの石柱の先は立入禁止になっていました。このロープを超えて中に入ってはいけません。相手は陸上○衛隊ですから、ケンカしても勝ち目はありません。もう一度言います、決してこの先に進んではいけません。

浅い谷を突っ切る

決してロープを超えて中に入ってはいけないのですが、その先には浅い谷があり、谷を横切ってまた道が続いています。その先からは、踏み跡が明瞭についています。

グランドキャニオンの降り口

そのまま5分ほど歩くと、右側にガイドロープが張られています。ロープの支柱には、富士学校とあります。須走にある、陸上自衛隊富士学校の敷地であることを示しているのでしょう。ロープの向こう側は、崖になっています。

そのままロープ沿いに進むと、右手に崖下へ降りる道が見えます。しかし、ここにも立入禁止のロープが張られています。繰り返しますが、決してこの道を下ってはいけません。グランドキャニオンに降りるにはこの道しかありませんが、決してこの道は下ってはならないのです。

登り口を決して忘れないで

決して降りてはいけませんが、下に降りると、これまで見たことも無い光景が広がっています。ここがグランドキャニオンです。しかし、ここで浮かれてフラフラと歩き出してはいけません。必ず、後ろを振り返ってみてください。

今、自分がどこを降りて来たのか。その目印となるものは何か。先ほどの道へまた引き返すときに、必ず必要になる情報です。写真のように、先ほど降って来た道は下からでは全く分かりません。この場所を覚えていなければ、きっと気がつかずに通り過ぎてしまうことでしょう。遭難とは、こういう単純なことから起こるのです。

ちなみに、この場所は、大き目の岩が通り道を狭くしているので、それが目印として使えます。必ず振り返って覚えておきましょう。(※注意:但し、取材時から状況が変わっている可能性があります。必ず現地で自ら確認してください。)

上流にも降り口があったが

先ほどの降り口で降りずにガイドロープ沿いに登っていくと、もうひとつの降り口があります。いえ、正確にはありました。ここは谷が二股に分かれているところの上になりますが、崖崩れによって断崖絶壁となり、降り口に利用出来なくなっています。

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グランドキャニオン

すっげぇ谷


崖を下る道


グランドキャニオン
(マウスオンで表示)

崖の上から下ってくる道は斜めに切ってあるので、傾斜はキツくはなく、危険もありません。但し、雨や朝露で湿っていると滑りやすいのでご注意を。

下まで降りて来ると、両側が切り立った谷の底です。本家アメリカのグランドキャニオンには敵いませんが、ここもまた日本とは思えない景色が拡がっています。グランドキャニオンを直訳すると「すっげぇ峡谷」ですが、まさにすっげぇ谷です。

富士山噴火の歴史を物語る

降りて来たのと反対側の壁には、地層が露出しているのが見られます。より正確には、地層というよりも富士山が噴火したときのスコリアと呼ばれる噴火物や火山灰が幾重にも重なったものです。ですから、見た目は滑らかですが、良く見ると小さな粒々で出来ているのが分かります。この壁は崩れやすいですから、スコリアの粒を見ようとして壁に触らないようにしてください。スコリアを見たければ、壁の下にいくらでも落ちていますので。

先へ進むほど高くなるなる

谷底は粗い砂に覆われていますが、先へ進みましょう。グランドキャニオンは進むほど高さを増し、息を呑むような光景が拡がっていきます。途中で引き返したら後悔しますよ、本当に。

富士山の須走側は、よく霧が出るのですが、霧が出てくるとより一層幽玄な雰囲気が醸し出されて時間を忘れてしまいます。

写真だとそれほどすごいとは感じないという方も居るかも知れませんが、実際にこの場に立って実感していただきたいものです。

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二股の谷

決して無理して進まないでください

さらに進んで行くと、谷が二股に分かれた場所に行き着きます。右側の谷は、砂と倒木で埋まっています。左側の谷は、大きな岩がゴロゴロしています。この谷の入口には、「悪路×」と赤いスプレーで書かれた岩が。

登山初心者の方が安全に散策出来るのは、ここまでです。来た道を引き返しましょう。先に進むのであれば、地図とコンパスが必要です。

凄まじい自然の力を感じる

念のため書いておきますが、小富士を通って5合目へ至る道は、この「悪路×」の谷ではありません。この悪路の谷は、極めて危険です。スラッシュ雪崩が岩を転がして来るのか、一年で別の場所のように様相を変えてしまいました。現在ここがどうなっているのか、見当もつきません。

左の写真は同じ場所ではありませんが、2012年の時点ではこの先しばらくは平らな砂地が続き、大きな岩は谷の奥まで行かないとありませんでした。それが、わずか一年足らずの間に二股の近くまで岩に埋め尽くされているのです。

谷底で落石に遭えば逃げ場は無い

この先の崖下は、上からいつ落石があってもおかしくありません。しかも、極めて狭い谷ですから、落石からの逃げ場所はありません。落石があったら、諦めてください。というよりも、そのような最悪の事態にならないように、絶対に先へ進まないでください。先ほどの立入禁止のロープとはわけが違います。

<次のページへ続く>

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