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富士山遭難事故の記録 2014年 5月4日

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富士山で起きた遭難事故をまとめています。

23歳男性 火口滑落/40代男性 救助中滑落行方不明

GW中の富士山山頂剣ヶ峰付近で昼過ぎ、須走口から同僚二人と山頂まで登りスノーボードをしていた男性が火口に滑落しました。男性は、同僚と他の登山者に救助されましたが、意識不明。スノーボードに乗せて下山させようとするも心配停止の状態になり、二次災害の危険があるため、男性を残して下山。

同行者からの「一緒にいた仲間が火口に滑落した」との110番通報により静岡県警山岳遭難救助隊が救助に向かうも悪天候と日没により救助を断念。翌5日は、天候不良により捜索活動見送り。

また、その男性の救助に協力していた40歳代とみられる単独登山者の男性が下山搬送中に斜面を滑落。行方不明となっています。

News!

静岡新聞の公式WEBサイト、アットエスからの引用です。

富士山で2人滑落か

(2014/5/ 5 07:25)

4日午後0時45分ごろ、富士山頂の剣が峰(3776メートル)付近で、千葉県船橋市薬円台、陸上自衛隊習志野駐屯地陸士長の男性(23)が火口に滑落した、と県警に通報が入った。男性は心肺停止の状態とみられる。富士山では、このほかにも滑落した男性登山者がいるとの情報があり、富士宮署などが確認を急いでいる。
富士宮署や県警地域課によると、男性は同僚2人と富士山須走口から入山して、山頂に到着後、火口周辺でスノーボードをしていたという。数十メートル滑落し、同僚が携帯電話で110番した。男性は同僚らの手で火口から引き揚げられたが、間もなく意識がなくなったという。男性の救助に協力した単独登山中の男性が、作業中に滑落した可能性がある。
県警山岳遭難救助隊8人が午後4時ごろ、富士山富士宮口から救助に向かった。途中で同僚2人を含む下山者数人と接触した。悪天候と日没の影響で、2次災害の恐れがあるとして捜索を打ち切り、引き返した。一行は午後9時半すぎ、疲弊した表情で同署に到着。同署が詳しい状況について関係者から話を聴いている。
富士山は5日から天候が崩れる見通しで、天候の回復を待って捜索を再開する方針。

News!

読売新聞が運営するWEBサイト、YOMIURI ONLINEからの引用です。

富士山頂で2人滑落

2014年05月06日

ゴールデンウィーク後半の富士山頂で、スノーボードに来た男性が火口に滑落し、救助に加わった登山者も斜面に滑落して行方不明になる事故が発生した。昨年9月からの閉山期間中に冬の富士山での滑落事故が後を絶たない。晴天だった頂の天候は急変し、2人の救助は進んでいない。(平山雄大、村上藍)

富士宮署などによると、スノーボードをしていた千葉県船橋市の自衛隊員菊池健太さん(23)は4日午前4時過ぎ、同僚2人と須走口から入山。昼頃に山頂に到着して菊池さんはスノーボード、同僚2人はスキーで移動していたところ、剣ヶ峰で菊池さんが火口側に約100メートル滑落した。

滑落した菊池さんは、山頂にいた民間人のパーティーら約10人に引き上げられた。救助者らは菊池さんをスノーボードに乗せて富士宮口から下山させようとしたが、約10メートル下ったところで、菊池さんの前方にいた40歳代くらいの男性が滑落、行方不明になった。菊池さんも心肺停止状態に陥ったため、新たな災害を防ぐために2人を残して下山したという。

富士山の登山シーズンは登山道が開通している7月上旬~9月上旬と短い。約9か月間は雪に覆われて天候も荒れやすいことから県などは入山を自己責任としている。富士山でのスキーやスノーボードの自粛を呼び掛けている富士宮市観光協会の宮崎善旦会長(64)は「富士山頂の雪は凍結しているうえ、突風が吹きやすいため、滑落しやすくて危険だ」と指摘した。

県警山岳遭難救助隊は5日は天候不良で捜索を断念したが、6日午前6時から再開する予定だ。

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当日の天候

40m/s近い風が吹いていたか


5月4日の河口湖上空の風速
(capture from 気象庁WEBサイト)

私(当サイト管理人)も同日、吉田口を北口本宮冨士浅間神社から5合目を目指して登山していましたが、下の方は晴れて陽射しがあったものの、上の方では天候が悪化して雨と共に風が強くなっていたようです。晴れの予報に誘われて登ってみたら、山頂は笠雲の中で暴風が吹き荒れていたなんてことは、富士山では良くあることです。

台風の大きさは平均風速15m/s以上の範囲と定義されますが、最大瞬間風速は、平均風速の1.5~2倍にも達することがあります。もし平均20m/sの風*が吹いていたら、40m/s近い突風が吹き荒れていた可能性があります。そのような強風では、まともに立っていることすら出来ません。強風が滑落の直接の原因となったかどうかは分かりませんが、救助活動や下山搬送の障害になったことは想像に難くありません。

(*山頂で風速の計測は現在行われていないため、河口湖上空の風速による。4,000mは終日欠測だが、5,000mの風速から、4,000m付近も秒速10m台後半であると思われる。)

気温は、-10℃前後


5月4日 富士山山頂の気温
(capture from 気象庁WEBサイト)

気温は、山頂でマイナス10℃前後と富士山としては極端に低くはありませんが、風が強いと体感温度も下がるため、行方不明になっている男性の生存が危ぶまれます。

▲TOP

23歳男性 死亡を確認/40代男性 依然行方不明

5月7日、最初に滑落した男性が山頂で見つかり、病院に搬送されましたが、死亡が確認されました。

救助中に滑落して行方不明になっていた男性は、未だに見つかっていません。身元も判明していない模様です。

News!

静岡新聞の公式WEBサイト、アットエスからの引用です。

自衛官の死亡確認 残る1人発見できず 富士山滑落事故

(2014/5/ 8 07:47)

富士山頂付近で4日に男性2人が滑落した事故で、県警山岳遭難救助隊は7日、山頂付近で心肺停止になっていた陸上自衛隊習志野駐屯地陸士長の男性(23)=千葉県船橋市=を救助した。男性は富士宮口5合目で富士宮市消防本部の救急隊に引き渡されたが、間もなく死亡が確認された。
富士宮署と県警地域課によると、男性の救出作業に協力し、山頂付近から宝永火口方面に滑落したとみられる30?40代の男性は発見できなかった。8日以降は範囲を拡大して、県警ヘリで空からの捜索を継続する方針。
同救助隊は7日午前6時20分ごろ、捜索を再開した。約5時間後、山頂付近で雪に埋もれ、横たわっている男性を発見した。強風の影響で県警ヘリでの収容は取りやめた。午後5時ごろ、男性を担架に乗せて富士宮口5合目まで下ろし、待ち受けた救急車の中に運び込んだ。
男性は剣が峰(3776メートル)付近でスノーボード中に火口に滑落した。同行の同僚2人と登山者数人に引き上げられ、富士宮口登山道の最上部まで運ばれた。同僚らは悪天候の影響で二次遭難の恐れがあるとして救出を断念し、下山していた。滑落した男性は単独登山中だったとみられ、同署は身元の確認を進めている。

冬の山頂は平らではない


剣ヶ峰
(右側が火口)


剣ヶ峰下の登山道
(斜めに写したのではありません)


火口を覗き込む


滑ったら終わりの火口壁

冬の富士山は、登山計画書の届出が義務付けられていますが、この男性は提出していたそうです。それによると、スノーボードで滑りながらお鉢巡りをすると書いてあったそうです。

夏の富士山に登ったことがある人は、山頂は平らなところだから斜面よりも安全だと思うかも知れません。ですが、地面は平らでも雪が積もると偏りが出来て傾斜になります。この男性が滑落した場所は剣ヶ峰付近だったらしいので、雪が無くても元々傾斜がキツイところですからさらに傾斜がキツクなっていたことでしょう。

写真は、2012年7月9日の山頂です。この年も雪が多く、山開き後もしばらく火口を巡る道が一部通行止めにされていたほどです。大げさではなく、火口に落ちたら命はありません。

News!

読売新聞が運営するWEBサイト、YOMIURI ONLINEからの引用です。

富士山 入山自粛 拘束力なし

2014年05月08日

<一部抜粋>

陸自習志野駐屯地によると、菊池さんは勤務先には「富士吉田に行く」と伝え、入山直前の4日未明に「滑走しながらお鉢回り」などと書いた登山計画書を山梨県警に提出したという。

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ザックとストック2本見つかる

行方不明の男性は未だ捜索中ですが、富士宮口を登山していた人が持ち主不明のザックと、ストックを2本見つけたと静岡県警山岳遭難救助隊に届け出ました。

ストックは、それぞれ別の種類ということで、遭難者のものでは無いと思われます。これまでの記事でも黄色いピッケルを持っていたことは報道されていますが、ストックには触れられていませんでしたので。この時期の富士山で、ストックまで持って来た可能性も低いでしょう。

一方、ザックはどうでしょうか?普通に考えて、仮にザックを斜面に滑り落としてしまったとしても、回収せずに捨て置くということは考え辛く、中身が古くなっていないようだったら、この行方不明者のものの可能性が高いでしょう。

News!

静岡新聞の公式WEBサイト、アットエスからの引用です。

富士山滑落 リュックなど発見 残る1人の所持品か

(2014/5/12 07:51)

富士山頂で4日に発生した滑落事故で、富士宮署は11日、富士宮口8合目付近でリュックサックが、9合目付近でストック2本がそれぞれ発見されたと発表した。同署は、行方が分からない30~40代の男性登山者の所持品の可能性もあるとみて調べている。
同署によると、11日午前11時ごろから午後2時ごろにかけて、1人の登山者が相次いで発見し、捜索中の県警山岳遭難救助隊に届けた。リュックサックは青っぽい色で、ストックは同一の種類ではなかったという。
男性は4日、山頂の火口に滑落した千葉県船橋市、陸上自衛隊習志野駐屯地陸士長の男性(23)=7日に死亡確認=の救出に協力した際、登山道側の斜面に滑り落ちたとみられる。同救助隊や県警ヘリが捜索を続けているが、発見できていない。12日も捜索を継続する方針。

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不明男性未だ見つからず

行方不明になって2週間になりますが、未だに発見されていないようです。そろそろ捜索も打ち切られるのかも知れません。

News!

静岡新聞の公式WEBサイト、アットエスからの引用です。

不明の男性か 富士山須走口で遺体発見

(2014/5/18 21:46)

18日午後2時10分ごろ、小山町の富士山須走ルートを下山していた男性から「遺体を発見した」と御殿場署に通報があった。同署によると、14日に山頂付近で滑落し、山梨県警が捜索している男性の可能性があるという。
同署によると、遺体は須走ルート本7合目にある見晴館の北側約100メートルで発見された。年代や性別は不明。青色の上着を着ていた。山梨県警が捜索している男性も青色の上着を身につけていたという。
静岡県警山岳救助隊が19日早朝から捜索し、収容する予定。
一方、4日に山頂の火口に滑落した男性を助けようとして富士宮ルート方面に滑り落ちた男性の行方は依然、分かっていない。11日には富士宮ルート8~9号目付近で、男性のものとみられるリュックサックやストックが発見されている。

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行方不明者の身元判明

先日見つかったザックは、やはり行方不明者のものだったようです。身分証明書が入っていたことから身元が判明しましたが、登山計画書も提出していなかったことから家族に連絡が行くまでにこれほどの時間が掛かってしまいました。

News!

東京新聞の公式WEBサイト、TOKYO Webからの引用です。

[静岡]登山計画書 浸透せず 富士山

2014年5月22日

富士山頂で大型連休中に2人が滑落した遭難事故は、発生から2週間以上たっても、男性1人が行方不明のままだ。男性の登山計画書は見つかっておらず、県警による身元確認には1週間を要した。夏山シーズン(7~9月)を除く閉山期の登山自粛を求める一方で、県警を中心にした関係者は登山者に計画書の提出を呼び掛けているが、浸透していない。 (小佐野慧太)

<中略>

■不要な捜索費も

四日の遭難事故は、山頂をスノーボードでお鉢巡り中、火口側に滑落した男性一人が死亡。救助作業を手伝った男性一人が登山道側に滑落し、行方不明になっている。

富士宮署によると、十一日に富士宮口八合目付近で行方不明の男性のものとみられるリュックを発見。身分証明書が入っており、ようやく家族らと連絡が取れた。

計画書に記載されたルートや連絡先は、救助の際の重要な手掛かりになる。また、遭難の情報が寄せられた場合、自力下山していても連絡が取れなければ、不必要な捜索費用がかかることになる。富士山の静岡県側での遭難は昨年に九十八件あったが、計画書が提出されていたのは一件だけだったという。

<後略>

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行方不明者と見られる遺体を発見

滑落者の救助に協力して下山中に滑落、行方不明になった男性とみられる遺体が、富士宮口8合5勺付近で発見されました。

News!

静岡新聞の公式WEBサイト、アットエスからの引用です。

富士山で遭難者発見 滑落不明の男性か

(2014/5/29 07:57)

28日午後0時25分ごろ、富士山富士宮口8合5勺(約3300メートル)付近で、横たわった遭難者を複数の登山者が発見し、110番した。富士宮署は4日の滑落事故で行方不明になった30~40代の男性登山者の可能性があるとみている。県警ヘリも約1時間半後に上空から確認したが、日没の影響で収容を断念した。県警山岳遭難救助隊が29日早朝から、捜索を再開する方針。

同署によると、遭難者の意識や性別は確認されていない。行方不明の男性は4日、スノーボードをしていて山頂の火口に滑落した千葉県船橋市の自衛官の男性(23)=7日に死亡確認=の救出作業に参加した際、山頂付近から登山道側に滑落した。身元も確認されていない。

遭難者を発見した一人、60代の男性登山者によると、遭難者は白髪交じりの頭を山麓方面に向け、あおむけに倒れていたという。左半身が雪に埋もれ、凍り付いているように見えたという。

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収容遺体の身元を42歳男性と確認

5月28日に登山者によって発見され、29日に収容された遺体の身元が特定されました。なお、遺体の搬送には、スノーボート(救助用ソリ)が使用されていたようです(NHKのニュース映像で確認)。

News!

静岡新聞の公式WEBサイト、アットエスからの引用です。

富士山で滑落死 遺体は神戸の男性

@S[アットエス] by 静岡新聞 5月31日(土)7時49分配信

富士山富士宮口8合5勺(約3300メートル)付近で29日に収容された男性登山者の遺体について、富士宮署は30日、神戸市に住む会社員の男性(42)と特定したと発表した。死因は胸部外傷などによる呼吸不全。

男性は4日、スノーボードをしていて山頂の火口に滑落した千葉県船橋市の自衛官の男性(23)=7日に死亡確認=の救出活動を登山者数人で行った際、山頂付近から登山道側に滑落し、行方不明になった。

28日に斜面に横たわった状態で見つかり、29日に県警山岳遭難救助隊に救助されたが、体を強く打ってすでに死亡していた。

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