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LastUpdate 2016/08/18

富士山遭難事故の記録 2014年

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富士山で起きた遭難事故をまとめています。

はじめに

富士登山のサイトを運営していますが、あえて遭難事故を掲載するべきかどうか、少し悩みました。

近年、登山ブームが加熱する一方で、充分な知識も経験も無い登山初心者までもが富士山に押し寄せるようになり、富士山でも遭難事故が後を絶ちません。マスコミでも遭難事故が取り上げられる機会が増え、それに対して世間の目も厳しくなっていると感じます。

「登山は自己責任なんだから、救助の必要は無い」「こんな奴等を救助するなんて税金の無駄遣いだ」などなど、遭難者に対して心無い言葉を浴びせ、ときに人格攻撃まで行われるまでになっています。

私個人としても、興味本位の単なる野次馬と見られたくはないですし、人の生き死にを伝えるというのは相手もあることですから生半可な気持ちで出来ることではありません。以下のリンクのように、すでに富士山の遭難を扱ったサイトもあったので、ここには手を触れないつもりでいました。

しかし、件のサイトも2013年の1月を最後に更新が止まり、無謀な登山者に警鐘を鳴らすという意味でも、このような記録をまとめることは無駄ではないとの思いから、当サイトで記録をまとめることとします。

なお、このページは、遭難者を晒し者にしたり、ミスを論ったりすることを目的として作っているわけではありません。ご覧になっている皆様にも、他人を一方的に非難し誹謗中傷するために利用することは厳に謹んでいただきたく、お願い申し上げます。それが出来ないという方は、ご覧にならないでください。

あなたの遭難事故を防ぐのは、あなた自身に他なりません。そのために、このサイトを利用していただければそれで十分です。

なお、昭和31年(1956年)から平成25年(2013年)の58年の間に、山梨県側だけで293人が亡くなっています。

attention!

NHKの公式WEBサイト、NHKニュースからの引用です。

富士登山者の安全祈願と慰霊祭

05月22日 16時42分

7月1日の富士山の山開きを前に、登山者の安全を祈るとともに、登山中に亡くなった人たちを慰霊する行事が、富士吉田市で行われました。
安全祈願慰霊祭は、富士山の吉田口登山道の入り口付近にある慰霊碑の前で行われ、山小屋の組合や市、それに地元の警察など、およそ30人が集まりました。
はじめに、富士山のふもとにある北口本宮冨士浅間神社の宮司が神事を行いました。
そして、出席者が今シーズンの登山者の安全を祈るとともに、これまで登山中に亡くなった人たちを慰霊しました。
富士山の山梨側では、記録が残っている昭和31年から去年まで、293人が亡くなっていて、今月も滑落事故で1人が死亡しました。
富士山は7月1日に山開きが行われる予定で、去年の夏山シーズン、山梨側から富士山に登った人は23万人余りに上ります。
慰霊祭に出席した富士吉田市の堀内茂市長は冬山シーズンの登山についてはほかの町村と連携して何らかの規制などを作るよう県に働きかける考えを明らかにしました。
堀内市長は「ことしは例年の3倍近くの雪があり、予定通り山開きができるか心配です。装備を万全にして登山を楽しんでほしいです」と話していました。

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事故傾向の分析

静岡県警が公表している資料から、ルートごとに異なる事故の傾向をある程度読み取ることが出来ます。以下の表は、平成20~24年の5年間の事故割合をまとめたものです。

Check Point!

表の説明

転倒
つまずき、スリップなど。
発病
高山病、低体温症など。
道迷い
地理不案内、悪天候、装備不備など。
地理不案内は、地図の不携帯。悪天候は、濃霧。装備不備は、ライトの不携帯が主な原因だと思われます。

転落と滑落はひとつにまとめています。
落石、落雷、不明、その他は、表からは除外しています。


種類別事故割合

Check Point!

ルート別、発生事故の傾向

須走ルート
転倒件数が4割近くを占めますが、これは主に急傾斜で滑りやすい下山道で発生していると思われます。
御殿場ルート
疲労と道迷いが多く、他のルートに比べて標高差や距離が長いこと、広大な斜面で霧や夜間に登山道を見失いやすいことがあげられるでしょう。
富士宮ルート
砂の載った岩場での転倒が多く、登山口の標高が高いことから、体が高度に馴れる前に標高をあげてしまうことで高山病になりやすいと考えられます。
その他
その他とは、上記3ルート以外を示していると思われますが、主に二ツ塚(双子山)や御殿庭のようなガイドロープが整備されていないハイキングコースでの道迷いが多いということでしょう。

もちろん、あくまでも傾向ですから、発生割合が少ない事故は考慮する必要が無いということではありません。

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2014年(平成26年)に発生した遭難事故

遭難事象遭難原因/発生地点[発見地点]
12月28日 31歳男性 滑落後行方不明 滑落吉田口9合目[吉田口4合目]
12月14日 中高年男性 心配停止で発見 原因不明御殿場口上双子山下
11月30日年配男性 心配停止で発見 滑落御殿場口7合目
11月6日75歳男性 お湯を沸かしていて火傷 火傷山頂
9月9日77歳男性 足を踏み外して転倒し頭を切る重傷 転倒吉田・須走口下山道9合目
8月30日52歳男性 一人で下山中に病死 病死吉田口6合目
8月27日74歳女性 病死?/24歳女性 転倒で怪我 病死吉田口8合目
転倒富士宮口9合目
8月23日40歳男性 膝を痛め歩行不能/46歳男性 足首を痛め歩行不能 スリップ富士宮口9合目
転倒富士宮口9合目
8月22日65歳男性 行方不明 道迷い宝永火口付近
8月18日40代男性 両足マヒで歩行困難 両足麻痺富士宮口7合目
8月17日20歳女性 気分が悪く動けなくなる 体調不良山頂
8月9日28歳女性 落石で頭蓋骨骨折 落石吉田口下山道9合目
8月2日70歳女性 後頭部打ち吐き気/48歳女性 足首骨折 転倒富士宮口9合目
スリップ山頂
7月26日37歳女性 頭痛腹痛など救助要請4件 体調不良富士宮口6~7合目の間
体調不良富士宮口5~6合目の間
転倒富士宮口
負傷御殿場口6合目
7月20日63歳男性 歩行困難/家族三人道迷いなど3件 転倒富士宮口7合目
転倒富士宮口9合5勺
道迷い須山口御殿庭[御殿場口新五合目]
7月19日男性の腐乱死体発見 原因不明[須走口6合目]
7月13日32歳男性 落石で足首打撲 落石富士宮口9合5勺
6月24日49歳男性 道に迷う 道迷い富士宮口5~6合目
6月20日60代男性 遺体で発見 滑落[須走口下山道7~8合目間]
5月14日67歳男性 61歳男性ガイドと共に滑落 滑落吉田口山頂[須走口7合目]
5月10日41歳男性 滑落事故/41歳男性 滑落事故 滑落富士宮口9合目
滑落富士宮口山頂
5月4日23歳男性 火口滑落/40代男性 救助中滑落行方不明 滑落山頂火口
滑落富士宮口山頂[富士宮口8合5勺]
3月31日26歳男性 行方不明、2日後救助 原因不明[吉田口2合目]
2月16日53歳・47歳男女 雪で身動き出来ず 気象中ノ茶屋手前
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2014年に発見された2013年の遭難事故

この項目では、2013年に入山して事故に遭いながら、発見が2014年になった事例を扱います。

遭難事象遭難原因/発生地点[発見地点]
12月31日70歳男性 意識不明・26歳男性 5日後発見 病死吉田口1~2合目間
滑落[御殿場口3,500m付近]
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