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富士山遭難事故の記録 2014年 8月9日

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富士山で起きた遭難事故をまとめています。

28歳女性 落石で頭蓋骨骨折

吉田ルートの下山道を登っていた女性に落石が当たり、頭の骨を折る重傷を負いました。山頂での御来光を目指して夜間に登っていたので、落石を避けられなかったのでしょう。

ネットでは、下山道を逆に登っていたことが事故に関連付けて語られていますが、実際には無関係です。

News!

山梨日日新聞が運営するWEBサイト、みるじゃんからの引用です。

富士山で落石 女性重傷 9合目付近 20センチ大、頭を直撃

2014年08月10日(日)

 9日午前3時15分ごろ、富士山9合目付近の山道で、斜面から落ちてきた20センチほどの大きさの石が登山中の仙台市泉区、会社員川崎加奈さん(28)の頭を直撃した。川崎さんは甲府市内の病院に運ばれたが、頭の骨を折る重傷を負った。ほかの登山者にけがはなかった。

 富士吉田署や県などによると、事故現場は吉田、須走両ルート共通の下山道近く。事故を目撃した人の話から、縦横約20センチ、厚さ約3~4センチの石が斜面側から数個落ち、川崎さんにぶつかったとみられる。近くの8合目救護所にいた医師が処置した後、5合目まで搬送され、待機していた富士五湖消防本部の救急隊が病院に搬送した。

<後略>

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登山道の整備と落石

下山道を登ることの可否

富士山の吉田ルートは、登りの道と下りの道が別々になっています。ここで誤解が生じやすいのですが、登山道と下山道は、絶対に逆に歩いてはいけないということはありません。登山中に高山病や怪我などで登山道を下ることもありますし、下山道に人が居ない時間帯(真夜中)であれば、登っても問題ありません。

但し、登山道は登りやすく、下山道は下りやすいからこそ別々になっているわけで、登山道は岩場になっていて下るには危険があり、下山道は滑りやすく登るのは困難です。

News!

山梨県の公式WEBサイトからの引用です。

富士登山における落石事故の防止について

更新日:2014年8月10日

・平成26年8月9日未明に、富士山吉田口9合目のブルドーザー資材搬入路において、ツアー登山者の女性が落石を受け、頭蓋骨骨折の重傷を負うという事故が発生しました。

・ブルドーザー資材搬入路は、登山ルートでないため、安全対策が講じられておらず、登山者の通行は禁止されています。

・富士登山においては次のことを必ず守ってください。

1.登山ルート以外を利用しないこと
2.登山道を外れるなど落石を誘発する行為を行わないこと

落石はどこでも起こり得る


落石注意の標識
(at 御殿場ルート)

また、「下山道を登っていたから落石に遭った」ということでもありません。実際には登山道でも落石は有りますし、岩場を登る登山道よりも、むしろ砂が多い下山道の方が落石の頻度は少ないかも知れません。

上記で山梨県の公式サイトから引用しましたが、この書き方では、読みようによっては「登山道では落石が起きない」というミスリードを誘う恐れがあります。

実際、ここに書かれているように、登山道(下山道含む)は整備によって落石防止を含めた安全対策が行われてはいます。定期的に巡回も行われ、落ちそうな岩を見つけたら適切に処理されているはずです。ですが、それでも落石を完全に無くす事は出来ません。自然の山を登る以上、落石はいつでもどこでも起こり得ることなのです。ですから、登山中はおしゃべりをしていても常に周囲に気を配り、危険に備える必要があるのです。

落石の避け方

現実として、夜間の真っ暗闇の中では、落石を目で見て避けることは難しいでしょう。であるからこそ、耳を澄まし、ガラガラという落石の音にいち早く気が付くことが大切です。

「見えなければ対処もしようが無い」と思うかも知れませんが、例えば、顔を守るために両腕を上げるだけでも被害を軽減出来るかも知れません。咄嗟に頭を抱えて地面に伏せることで、ザックが、落石から背中を守ってくれるかも知れません。目に見えなくとも、落石に「気づく」と「気づかない」では、取り得る行動に雲泥の差があるのです。

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