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LastUpdate 2016/04/28

徹底検証!酸素水

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富士登山を扱ったサイトやブログでは、食べる酸素や酸素水と呼ばれる商品を、高山病対策に有効として薦めているのを見かけることがあります。そのような製品の効果を検証する2ページ目です。

酸素水とは

1分間の呼吸にも満たない酸素量


酸素は元々水に入ってます
(image from 写真素材 足成)

酸素水は、普通の水よりも高濃度の酸素を含む水としてペットボトルの状態で販売されています。では、そもそも「酸素水」にはどれほどの酸素が含まれているのでしょうか?また、それは高山病を防止するのに十分な量と言えるのでしょうか?

これも結論から申し上げると、酸素水1ℓ(リットル)には、最大でも1分間に必要な酸素量1.2ℓの12分の1(105ml)の酸素が含まれているだけです。そのうちの富士山山頂で不足する分、400mlと比べても、わずか4分の1でしかありません。

これでは、いくら飲んでも高山病対策には効果無さそうですね。1ℓの酸素水を飲むよりも、1回深呼吸した方が早くて簡単、且つお金も掛かりません。

元々少ない酸素を何倍にしても、やっぱり少ない

実は、酸素は普通の水(水道水やミネラルウォーター)にも、自然状態ですでに溶け込んでいます。海でも河でも、魚など水中にすむ生物は、水に含まれる酸素を呼吸しているのです。

しかし、その量は、5℃の水1ℓに対して約9ml、25℃で約6mlと、極わずかです。(酸素は温度が上がるほど膨張する(密度が下がる)ので、温度が上がるほど溶存酸素量は少なくなります)

これに対して高濃度酸素水、所謂「酸素水(酸素強化水)」は、一般的な商品で「水道水の」3.5~36倍程度の酸素を含んでいると説明されています。仮に5℃の状態の36倍だとしても酸素水1ℓに対して324mlしか含まれない計算になります。

それもそのはず、元々水に入ってる酸素は少ないのですから、それを何十倍にしたところで、呼吸を補うほどの酸素が得られるわけはありません。いえ、それどころか実際に商品説明で示された数値を計算してみると、次の項目で示した表のように、1ℓあたり、せいぜい105mlしか含まれていないのです。

Check Point!

熱湯と比べて36倍?

酸素水業者が宣伝文句に使っている自称「36倍」の酸素量が実際には36倍で無いとしたら、実際には一体何倍ぐらいなのでしょう。

水に含まれる酸素の量は、水温が上がるほど少なくなると書きましたが、酸素の少ない30℃の水の飽和溶存酸素量(約5.5ml/ℓ)と比べても、表示よりも遥かに少ない倍率(約19倍)でしかありません。(真夏の水道水の最高水温平均値でも30℃を大きく下回っています)

仮に36倍で105ml/1ℓとすると、比較対象の元は3ml未満/1ℓであるはずですから、基準とする水の温度は50℃以上にもなる計算です。

お風呂のお湯が、40~42℃ですので、まさに熱湯の36倍の酸素が入っていると謳っていることになります。

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酸素水 商品一覧表

では、酸素水メーカーと販売業者が宣伝している公表値を見てみましょう。

なお、メーカー表記では「mg(質量)」や「ppm(濃度)」という単位が使用されていますが、呼吸量と比較しやすいように「ml(体積)」に換算してあります。

改めて記しますが、成人男性による酸素吸入量は、およそ1.2ℓ/min(安静時)。富士山山頂の気圧下での不足酸素量は、その3分の1で400ml/minとなります。

水道水と酸素水で、表右欄の計算値を比較してみてください。緑で倍率を示した商品だけが、表記の倍率と含有量の計算値が合致します(但し、その公表値も本当だという保証はありません)。

Amazon.co.jpで「酸素水」を検索した結果より選別 順不同 2012/1/17時点
商品名
[製造・輸入販売会社]
製品容量製品含有酸素質量/濃度
(※メーカー公表値)
倍率表記1ℓあたりの含有量(体積)
(※当サイトによる計算値)
水道水
[日本]
*5~8ppm1倍*3.5~5.6ml
酸素プラス
[日本食研]
500ml40mg/80ppm以上
(充填時)
10倍56ml以上
(充填時)
O2飲む酸素
[ゴールド興産]
2ℓ/500ml酸素水ではなく、ミネラルイオン水と説明されています
オキシゲナイザー
[アイザー]
500ml75mg
(充填時)
36倍105ml
(充填時)
オキシジェンO2
[アデルホルツナー]
500ml30mg15倍42ml
オキシワッサー
[オムコ東日本]
500ml50mg/100ppm超
(開栓後48時間)
35倍70ml超
(開栓後48時間)
有酸素生活
[オムコ東日本]
500ml40mg/80ppm以上
(飲料時)
30倍56ml
(飲料時)
バナジウム酸素水
[オムコ東日本]
500ml60mg/120ppm
(充填時)
-84ml
(充填時)
オキシー
[SKインターナショナル]
500ml8mg/16ppm-11.2ml
天草海洋酸素水コクトゥーラ
[アクアエナジ/花剣環境]
500ml15mg/30ppm超3.5倍21ml
(生産時)
O2アクア
[アイスダウン・ジャパン]
500ml25mg
(充填時)
12倍35ml
(充填時)
D-O2アクア
[クレス薬品]
500ml?15倍-
ディーオーウォーター
[ディアイケイ]
500ml60mg/120ppm-84ml
ナノバブル酸素水
[嬬恋銘水]
485ml19.4mg
(充填時)
10倍28ml
(充填時)
極美水
[ウインズプランニング]
485ml19.4~20.37mg
(充填時)
10倍28~29.4ml
(充填時)
ナノバブルウォーターX500
[九重どさんこ農場]
500ml?500倍-
オキシジェンフォーライフ
[オハラ]
500ml85,000mg/170,000ppm約30,000倍119,000ml
※ppmとは100万分の1を表す濃度の単位であり、質量で100万分の1を表すmgという単位に対して[mg/L=ppm]という式が成り立ちます。*日本食研のサイトに出ている数値ですが、根拠となるソースは見つけられませんでした。

倍率さえ適当なメーカーの公表値を信じますか?

こうして並べてみると、倍率の表記がいかに適当であるかが分かります。

ほとんどの製品で、「倍率は水道水を基準にしている」とありますが、倍率計算の元になるはずの水道水の溶存酸素量さえ一致した基準は無く、各メーカーが独自に何倍であると主張しているに過ぎません。

なお、当サイト管理人が自分で調べた限りにおいては、水道水にどれだけの酸素が溶存しているのか、参考になりそうなデータも見つかりませんでした。

基準の水温さえ示されていない

そもそも水道水の水質基準には、溶存酸素量(Do)に関する規制値はないようですし、溶存酸素量は水温によって変化するので、一定の水温に揃えて計測しなければ意味がありません。計測されてもいないデータを探しても見つからないのは当然でしょう。

もしも「水の○○倍」という表記をするのであれば、「水温○○℃の水の○○倍」という基準を示さなければ公正な表記とは言えないのです。

Check Point!

水道水の溶存酸素量

では、一部の酸素水メーカーが倍率表記の基準とする、5~8ppmというのは、どの程度の数字なのでしょうか。

東京都水道局のサイトによると、平成24年の月別平均水温において、最高で28.4℃(8月)。最低で5.9℃(2月)を記録しています。これを1気圧の自然状態における温度ごとの最大酸素含有量、つまり「飽和溶存酸素量」に当てはめると、約7.7~12.1ppmとなります。

水道水は密閉された水道管を通ってきますから、溶存酸素量は元々少ないのかも知れません。しかし、そもそもなぜ溶存酸素量の少ない水道水を基準にするのか。同じペットボトル飲料のミネラルウォーターではなぜいけないのか、私にはさっぱり分かりません。

大体、溶存酸素量の少ない水道水でも、大気に触れるようにコップに入れてしばらく静かに置いておけば自然に飽和溶存酸素量まで増えるのですから、それを基準とするべきでしょう。

科学を無視したトンデモ理論

また、酸素水メーカーのサイトを見ると、おかしな記述が目に付きます。曰く、「ヘンリーの法則を打ち破った」だの、「開封後も酸素が減少しない」だの、質量(mg)と体積(ml)の単位を明らかに混同して使っているケースなどなど、非科学的な珍説満載で見ているだけでも飽きません。

その中でも「NASAのジェット推進研究所で偶然に発見された技術により生まれ」たという3万倍の酸素水がトドメを刺します。

ヘンリーの法則によれば、「気体の溶解度は圧力に比例する」となっていますから、30,000気圧でペットボトルに封入されていることになります。それだけの内圧が掛かっていたら、封を開けた瞬間にフタが弾丸のように飛んで行くことでしょう。いえ、それ以前に本体が破裂するでしょう。

ちなみに、空気銃で200気圧。ダイビング用の空気タンクで150~200気圧。ペットボトル容器の耐圧性能は、炭酸飲料用でも3~6気圧程度であり、ペットボトルロケットは、5気圧程度を限度として加圧して飛ばされるのだとか。それ以上に加圧すると、ペットボトルが破裂して危険だからです(微炭酸の容器は耐圧性能も低く造られているので注意)。

開封するとフタが「ポン!」と飛ぶシャンパンは、5~6気圧だそうです。その5,000倍の内圧が掛かったペットボトルのフタを開けるなんて、想像もつかないですね。

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酸素水は、どれだけ飲めばいいの?

毎分4ℓずつ飲んでください

先に計算したように、富士山山頂で不足する酸素量は、1分あたり400mlです。

仮に1ℓの酸素水で105mlの酸素を補給出来るとしても、我々が1分も休まず呼吸を続けるように、1分ごとに約4ℓの酸素水を飲み続けなければなりません。

まぁ、4ℓもの水を飲み干すには、どんなに頑張っても丸々1分掛かるでしょうから、その飲んでいる間は口呼吸が出来ません。つまり、実際には1分間の必要酸素量の全てを酸素水で賄う必要があるわけです。そうなると、1分で12ℓを休まず飲み続けないといけない計算です。

運動時には、1時間で3,600ℓ飲んでください

しかも、これは安静時の話です。運動時には安静時の5~10倍もの呼吸量を必要とするので、少なく見積もっても1分間に60ℓの酸素水を飲み続けなくてはいけません。実に1時間あたり、3,600ℓが必要という計算になります。

もちろん、これは酸素水に宣伝通りの酸素量が含まれ、尚且つ食道や胃腸から、肺呼吸による効率を遥かに上回る100%の効率で酸素を体内に吸収できると仮定した上での計算ですが・・・

以上の説明で、「酸素水には大量の酸素が入っていて、高山病予防に効果がある」という考えもナンセンスだとご理解いただけたと思います。

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酸素は時間と共に抜けていく

飲んでいるうちにも酸素は減っている

ペットボトルの容器は、ほとんど酸素を通しませんが、完全に酸素を通さないわけではありません。実際には、すでに開封前から微量ながらペットボトルの外に酸素が漏れています。

上記の表で「充填時」とわざわざ表記しているのは、充填時の酸素量が実際に酸素水を飲むときまで保たれていないからです。

さらに、酸素水に高圧で充填された酸素は、開封されて外気に触れると、大気における酸素分圧と平衡化するために大気中に拡散し、最終的には通常の水と同じ溶存酸素量にまで下がります。これは、炭酸飲料の炭酸が、栓を開封した瞬間からシュワシュワと泡になって抜けていくのと同じことです。栓を開けたまま炭酸飲料をほっておくと、炭酸の抜けた、ただの砂糖水になりますよね。

酸素が抜ける速度は、充填時の圧力が高ければ高いほど抜けるのも早くなります。
気圧の低い富士山のような高所では、酸素の放出速度もさらに速まります。

元々大した量が入っていない酸素がさらに少なくなるのですから、もはや有意な影響を人体に与えられるはずがありません。

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濃縮型酸素水?

もう、何でもアリ?

一方、目薬のような小さな容器に入った、水に滴下するタイプの飲む酸素(商品名:オーツープラスダイレクト/製造元:エバニュー(EVERNEW))には「濃縮された酸素液」が入っていると販売業者は謳っています。しかし、ペットボトルよりもさらに小さな容器にどれだけの酸素が入っているというのでしょう。

商品の説明を見ると、「オーツープラスダイレクトストロングには10,000ppm(内容量20ml)の濃縮酸素液が入っている」とあります。ppmとは100万分の1の濃度を表す単位です。この場合、溶液中の気体は質量(重さ)で表します。10,000(1万)ppmということは、質量比にして1%(100分の1)の酸素が入っているということですから、オーツープラスダイレクトストロング(20ml)には重さ0.2gの酸素が入っているという計算になります。

重さ0.2g(200mg)ということは、酸素1gあたりの体積を700mlとして計算すると、140mlにしかなりません。これは安静時の呼吸二回分にも満たない酸素量です。

コップ一杯あたり、2ml未満の酸素

しかも、実際には「100mlの水に2滴(0.17ml)を加えて飲め」というのですから、コップ一杯に付き1.19mlの酸素しか増えません。これは、呼吸一回分の酸素の80分の1にも満たない極々微量です。もう笑うしかないですね。

ちなみに水道水の溶存酸素濃度は10ppm前後ですから、酸素が一千倍という高圧で圧縮して封入されていないとおかしいのは、他の酸素水と同じです。

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胃腸から酸素を吸収出来るのか?

魚でさえ、胃腸で呼吸はしない

酸素水や食べる酸素に含まれる酸素量を気にする以前に、「人間は酸素を消化器官で吸収できるのか?」という疑問もあります。

そもそも、人間は肺から酸素を取り込むのであって、食道や胃腸を使って呼吸をする造りになってはいません。
水中に溶け込んだ酸素を呼吸する魚でさえ、消化器官ではなく、鰓(えら)から酸素を取り込んでいます。

一部の商品が宣伝しているように、「肺呼吸以上の効率」とか、「飲んだ酸素の100%を血液に取り込む」ことなど、ありえません。なぜなら、肺呼吸によって空気から酸素を取り込むように進化してきた人間が、水中生活に適応する形で進化して来た魚でさえも獲得していない消化器官による呼吸を行えるはずがありませんし、肺呼吸で必要な酸素を充分に得られているので、そのような進化の適応をする必要すら無かったのです。

酸素水のプール

想像してみてください。

酸素水を満たしたプールに人を沈めたら、溺れずに水中で呼吸が出来るでしょうか?
呼吸する代わりに酸素水を飲み続ければ、呼吸をしなくて済むでしょうか?

答えは書くまでもないですよね。

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血液の循環と酸素の運搬

酸素は、どのようにして体内を駆け巡るのか

酸素がどのように体内に取り込まれるのか、もう少し詳しく説明しましょう。

人間の場合、呼吸によって肺に吸い込んだ酸素を「肺胞」という器官を通して血液に取り込み、血流によって体中隅々まで運びます。酸素は、この肺胞で赤血球の主要成分であるヘモグロビンに結合しますが、この際に不可欠な要素が「酸素分圧」です。

酸素分圧は、分かりやすく言えば、「気体である酸素を、液体である血液に圧力をかけて押し込む力」と考えればいいでしょう。酸素水に酸素を充填するときと同じく、圧力が高いほど、より多くの酸素が血液に取り込めるのです。

この酸素分圧は、[気圧×酸素濃度]の式で示されます。

高山病は、酸素濃度の減少が原因ではない

少なくない人が誤解しているようですが、富士山の山頂で気圧が3分の2になっても、酸素濃度は減少しません。

一定量の大気に対する酸素濃度は、平地でも、富士山の山頂でも、同じ21%です。では、なぜ富士山では酸素が不足して高山病になるのか、先ほどの式で表してみれば、一目瞭然でしょう。

その式に酸素濃度21%を当てはめてみると、[気圧×0.21(酸素濃度)]となります。酸素濃度は変化しないのですから、酸素分圧(血液に酸素を押し込む力)が変化する理由は、気圧の変化のみということです。

つまり、高所において高山病を引き起こす要因は、酸素濃度の減少ではなく、気圧の低下が原因だと分かります。

Check Point!

呼吸とは何か?

赤血球中のヘモグロビンは、酸素分圧の高い肺胞で酸素と結合し、酸素分圧の低い末梢組織で酸素を離します。逆に、二酸化炭素は末梢組織で血液に取り込まれ、肺を通して呼気により体外に排出されます。

このように体内に酸素を取り入れ、二酸化炭素を体外に排出することを「ガス交換」と呼び、この一連のシステムが完結して呼吸となります。

二酸化炭素を排出せず、ただ酸素を取り込むだけでは「呼吸」は成り立ちません。

このことから分かるように、酸素分圧の低下は、肺胞から血液に取り込まれる酸素の量を減らしてしまうということです。

高山病を防ぐには、気圧の低下を補う濃度の酸素を取り込む(酸素濃度を上げる)か、酸素量の低下を補うような呼吸(加圧)を行う必要があることが理解出来るでしょう。

では、100%の濃度の酸素を含むという酸素水であれば、胃腸で酸素を取り込むことによって、脳を含む全身に酸素を送れるのでしょうか?
いいえ、そうはなりません。これを理解するポイントは以下の二つです。

Check Point!

酸素水を理解する二つのポイント

  • 胃腸で水に入った酸素を100%吸収出来るか?
  • 胃腸から吸収した酸素を全身に運ぶことは出来るか?

胃腸の壁を透過するのは、酸素でも簡単ではない

多くの酸素水販売会社は、「酸素水に含まれた酸素は胃腸で100%吸収される」と謳っています。しかし、これがウソであることは考えるまでもありません。

汚い話ですが、気体が100%消化器官で吸収されるなら、ゲップやオナラ(屁)が出るわけはありません。
炭酸飲料を飲んだら、二酸化炭素中毒になるのでしょうか?(炭酸ガスの成分は、二酸化炭素)

そもそも酸素は水に溶け込んでいるのですから、胃腸で水が100%吸収されるのでなければ、酸素も100%吸収されるわけはありません。もしも胃腸で全ての水を吸収するのであれば、便はカラカラに乾いていなければおかしいはずです。

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胃から脳へ酸素は届かない

酸素を運ぶ血流は、常に一方通行

でも、「100%でなくても、胃腸から吸収される酸素が少しはあるんじゃない?」と思う人もいるかも知れません。しかし、体内に取り込んだ酸素は、全身に行き渡らせなければ意味はありません。

血液の流れを見れば分かるように、肺で取り込んだ酸素を運ぶのは動脈であり、静脈(じょうみゃく)は心臓へ戻る道しかありません。胃腸などの内臓へ酸素を送った動脈は、そのまま静脈として心臓へ送り返されます。

言うまでも無く、胃腸から酸素を吸収することを前提として設計されていない人間の体は、胃腸から全身に血液を届けるような仕組みにはなっていないのです。

特に、酸素不足の影響を最も受ける脳へ。胃腸からの酸素が送られないのであれば、胃腸でどれだけ酸素を吸収しても胃腸の周りで消費されるか肺へ送られるだけであり、それでは高山病は防げないのです。

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まとめと用語解説

取り留めがないので、まとめてみた

いやぁ、長々と、ややこしく、分かりにくい説明を読んでいただき、ありがとうございました。

え?
面倒だから読み飛ばした?

では、説明は省いて要点だけをまとめてみましょう。

Check Point!

まとめ

  • 酸素水1ℓあたり、最大でも1分間に必要な酸素量の12分の1しか酸素が含まれていない
  • 食べる酸素、飲む酸素に至っては、そもそも酸素が入っているわけではない
  • バナジウムやゲルマニウムを含む製品は、健康リスクを伴う場合があるので要注意
  • 胃腸で酸素を100%吸収するという宣伝は大嘘
  • 仮に消化器官から酸素を取り込んでも、全身に行き渡るように人間の身体は造られていない

どうでしょうか。これでも無料でいくらでも吸える酸素を呼吸するよりも、お金を出して食べる酸素や酸素水に頼ろうと思いますか?

Check Point!

用語解説

  • 溶解度=ある溶質が、溶媒に溶け込める限界量。1気圧0℃の水に対する濃度100%の酸素の溶解度は、体積において49ml/ℓとなる。実際の大気では酸素濃度が約21%なので、49ml×0.21≒10ml/ℓの飽和溶存酸素量となる。
  • 溶存酸素量=溶液(水)に溶け込んでいる酸素の量。
  • 飽和溶存酸素量=加圧などをしない自然状態で溶媒(水)に含まれる酸素の最大量。気圧が同じであれば、温度が下がれば多くなり、温度が上がれば少なくなる。溶液が空気に接触する状態に置いておけば、飽和溶存酸素量までは自然に平衡化する。
  • 混合静脈血=上大静脈血・下大静脈血・冠静脈血が右心室で合流したもの。肺動脈を流れる、最も酸素が少ない状態の血液。
  • ppm=1ℓあたりの100万分の1の濃度を表す。mg/ℓ=ppm
  • mg=質量1kgの100万分の1を表す。mg×0.7≒ml
  • ml=体積1ℓの1,000分の1を表す。ml×1.4≒mg
  • モル体積=1molの分子量(相対分子質量)は32gであり、体積は約22.4ℓである。このことから、1mol=32,000mg≒22,400mlとなり、1mg≒0.7mlもしくは、1ml≒1.4mgという単位換算が行える。
  • /min=1分あたり
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