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LastUpdate 2016/06/28

富士山剣ヶ峰とお鉢巡り

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富士山の山頂について。



富士山山頂概要

さぁ、登山道を登りきって富士山の山頂に着きました。ここがその日本最高地点でしょうか?

いいえ、実はまだ最高地点ではありません。

富士山の山頂には大きな旧噴火口があり、この噴火口をぐるりと一周して火口壁があります。この火口壁の上を登山道が通っており、この火口を一周することを『お鉢巡り(おはちめぐり)』と呼びます。

その火口外周壁の最も高いところが、日本の最高地点『剣ヶ峰(けんがみね)』となります。

このサイトでは、火口の外周に位置する各登山道の終点を「富士山山頂」としており、これは一般的にもそう呼ばれています。

▲TOP

お鉢巡り案内

登頂の疲労や時間的な余裕の無さからか、意外に行われていないのがお鉢巡りと、富士山の最高地点である剣ヶ峰への登頂だそうです。私からすると勿体無い限りです。

富士山の火口こそ苦労して登って来て、さらにもう少しの苦労で見られる、それだけの苦労をしても見る価値のある風景だと思います(但し、強風時、残雪が多いときなどは中止の決断も必要)。

もちろん、登山道終点である登頂地点付近からも火口は見られますが、山頂の一地点から火口全体を一望するのは難しく、火口を取り囲む火口壁も含めて見る方向によっても景色は違って見えます。であるからこそ、お鉢巡りで火口の周囲を巡って様々な表情を見比べることも富士登山の醍醐味のひとつとなっているのです。何より、自分の足で火口の周囲を歩くことで火口の大きさ、ひいては富士山のスケールの大きさが実感出来る事でしょう。

お鉢巡り
(水平)距離2.4km(外周コース)
標準コースタイム
右回り
1時間37分
左回り1時間37分
最大標高差70m
※距離と最大標高差は地理院地図を使用し管理人が計測。但し、切れのいいところである等高線上を起点終点とした。

噴火口を見ずして富士山を語るなかれ

富士登山のクライマックスは、なんと言っても巨大な旧噴火口にあるでしょう。この大噴火口こそ、紛れも無く富士山に登らなければ見られないものの筆頭格であると言えます。

この山頂の火口は、現在では噴気をあげるようなことはありませんが、それでも往時の迫力を感じさせてくれます。「富士山は見るだけの山で、登る山ではない」という人は、残念ながらこの噴火口も見たことがないのでしょう。

大内院

富士山の火口の底は大内院(だいないいん)と呼ばれ、深さは8合目にまで達するほどだそうです。大内院は幽宮とも称され、富士浅間大社により禁足地(足を踏み入れてはいけない聖域)とされています。

火口
最深部標高3,538.7m
深さ237.42m
直径
(剣ヶ峯~久須志神社間)
780m
平均傾斜角*
(大内院から剣ヶ峰)
28.4°(勾配53.3%)
※傾斜角・勾配は地理院地図を使用し管理人が計測、計算。但し、切れのいいところである等高線上を起点終点とした。*水平距離と標高差から割り出した計算上の値。火口の最大傾斜角度ではないことに注意。
Check Point!

お鉢巡りの回り方

右から回るか、左から回るか

お鉢巡りはその名の通り火口に沿ってぐるっと山頂を一周していますから、右回り(時計回り)にも、左回り(反時計回り)にも好きに選ぶことができます。では、どちらから回るのがいいのかというと、私は絶対に右回りをお薦めします。理由は、剣ヶ峰直下にある、『馬の背』と呼ばれる最後の難所を登るか降るかで危険度が全く違うからです。

馬の背は、その名の通り峰の左右両側が切れ落ちて崖のようになっていますが、登山路のある斜面自体がとても急傾斜で、尚且つ固い岩盤の上に砂が載った、とても滑りやすい斜面です。

この斜面で転んで怪我をする人は少なくないようですが、その多くが馬の背を下るときに足を滑らせて転倒しています。馬の背に限らず、登山は登るときよりも下るときの方が難易度が高く、転倒などで怪我をしやすいのです。滑りやすい砂の載った斜面であれば、尚更です。

下るときは手袋

もしも富士山頂で捻挫でもしたら、下山には大変な苦労を強いられます。骨折など状態が悪いと、高いお金を払ってブルドーザーに載せてもらって降りことにもなりかねません。そうなりたくなければ、「お鉢巡りは右回り(馬の背は登り)」と覚えておきましょう。

一周する時間が無くて剣ヶ峰まで往復するなどどうしても下りに使わざるを得ない場合は、必ず手袋(軍手)をしましょう。転びかけて咄嗟に手を突くときも擦り傷を防げます。

右回りは仏教に基づく

なお、本来お鉢巡りは仏教の礼法である右繞(うにょう)に基づき、右回りを正式とするようです。

また、ご高齢の方や小さなお子さんを連れた方は、馬の背自体を避ける選択も有り得ます。これは、剣ヶ峰までは左回りで登り、下りは同じ道を右回りで戻って往復して降りてくるのです。御殿場ルートや富士宮ルートから登って来た人は遠回り(往復2時間半)になりますが、安全性は絶対的に高い方法です。

▲TOP

吉田・須走ルート山頂:3,706m

それでは、お鉢巡りの一周を、吉田口・須走口の山頂を基点に、右回りに紹介しましょう。

吉田口・須走口ルートの登山道を登りきった正面が久須志神社となります。この場所は、やっとの思いで山頂に辿り着いた登山者が、思い思いに休んでいるのを多く見かけます。しかし、登山者が多い時間帯はとても混み合う場所なので、記念撮影を終えたら速やかに移動し、長く立ち止まらないようにしてください。

山小屋・施設

久須志神社

富士宮口側山頂にある富士山頂上浅間大社奥宮の末社にあたり、東北奥宮と呼ばれることもあります。


久須志神社
営業期間 2017年7月10日(月)10時~9月10日(日)朝
2016年7月11日(月)~9月10日(土)
営業時間4:00~16:00
トイレなし
その他 AED有(自動体外式除細動器)
※当サイトは山小屋とは無関係な個人が運営しており、上記情報は各山小屋の公式サイトや直接問い合わせするなどで得たその時点における情報であり、内容について一切保証・補償は出来ません。※営業期間、営業時間などは目安であり、天候、曜日、時期などにより変更される場合があります。

山口屋(支店)

久須志神社のとなりの売店です。山口屋の支店では、宿泊は受け付けていません。


山口屋(支店)
営業期間 2017年7月15日(土)~未定(商品売り切れ次第終了)
営業時間売店4:00~17:00
宿泊収容人数食堂・売店のみ
トイレなし(共同トイレを使用のこと)
その他 AED無(自動体外式除細動器)
※当サイトは山小屋とは無関係な個人が運営しており、上記情報は各山小屋の公式サイトや直接問い合わせするなどで得たその時点における情報であり、内容について一切保証・補償は出来ません。※営業期間、営業時間などは目安であり、天候、曜日、時期などにより変更される場合があります。

扇屋

間口は狭いですが、宿泊も受け付けています。


扇屋
営業期間 2017年7月8日(土)~9月10日(日)
営業時間売店
宿泊収容人数80名
チェックインIN
消灯
OUT
トイレなし(共同トイレを使用のこと)
その他 AED無(自動体外式除細動器)
※当サイトは山小屋とは無関係な個人が運営しており、上記情報は各山小屋の公式サイトや直接問い合わせするなどで得たその時点における情報であり、内容について一切保証・補償は出来ません。※営業期間、営業時間などは目安であり、天候、曜日、時期などにより変更される場合があります。

東京屋

情報はありません。


東京屋
営業期間 2017年不明
営業時間売店
宿泊収容人数売店のみ
トイレなし(共同トイレを使用のこと)
その他 AED無(自動体外式除細動器)
※当サイトは山小屋とは無関係な個人が運営しており、上記情報は各山小屋の公式サイトや直接問い合わせするなどで得たその時点における情報であり、内容について一切保証・補償は出来ません。※営業期間、営業時間などは目安であり、天候、曜日、時期などにより変更される場合があります。

山口屋(本店)

山口屋の本店です。宿泊は、こちらで受け付けています。


山口屋(本店)
営業期間 売店2017年7月15日(土)~
2016年7月10日(日)~8月24日(水)
宿泊2017年7月14日(金)~8月19日(土)
予約受付2017年 6月1日より
営業時間売店4:00~17:00
宿泊収容人数個室有り150名
チェックインIN17:00までに到着
消灯
OUT6:00までに退室
トイレなし(共同トイレを使用のこと)
その他 荷物預り[宿泊客のみ] 無料
AED無(自動体外式除細動器)
※当サイトは山小屋とは無関係な個人が運営しており、上記情報は各山小屋の公式サイトや直接問い合わせするなどで得たその時点における情報であり、内容について一切保証・補償は出来ません。※営業期間、営業時間などは目安であり、天候、曜日、時期などにより変更される場合があります。

共同トイレ

吉田口・須走口側山頂のトイレは、山小屋が共同で管理しているようです。ですので、山小屋が閉まっている期間は利用出来ません。


共同トイレ
開設期間 例年吉田・須走口山小屋に同じ
2017年7月8日(土)~9月10日(日)ごろ
利用時間24時間
トイレ使用料300円:男女共用
その他
※当サイトは山小屋とは無関係な個人が運営しており、上記情報は各山小屋の公式サイトや直接問い合わせするなどで得たその時点における情報であり、内容について一切保証・補償は出来ません。※営業期間、営業時間などは目安であり、天候、曜日、時期などにより変更される場合があります。

夜明け前後は大行列


トイレの行列
[2011/8/28(日) 5:11]

写真は、2011年8月28日の夜明け直後のものです。

ご来光を求める人の多さもさることながら、トイレの順番待ちで20m以上の行列が出来ています。中は男女共用になっていますので、それが気になる方は御殿場・富士宮ルート側の公衆トイレを利用するといいでしょう。

山頂銀座

日本には、いたるところに「銀座」の名称がついた場所がありますが、富士山の山頂も例外ではありません。吉田・須走口側の山頂にある山小屋前の通りがそのように呼ばれることがあります。特に、夜明け前には御来光を求めて足の踏み場もないほどです。

Check Point!

日本一高い自動販売機?

暗夜にも煌々と

富士山の山頂には、なんと自動販売機があります。

吉田口・須走口側の山小屋、山口屋支店の前に2台、同本店の前に1台です。標高の高さはもちろん、値段の高さもおそらく日本一の高さでしょう。

一応、24時間利用可能で、山小屋が閉まっている夜間でも暖かい飲み物を購入できます(売り切れでなければですが)。この自動販売機が利用出来るのは、山小屋の営業している期間のみです。9月以降は利用出来ないでしょうから、あまり当てにしない方がいいでしょう。

自動販売機値段 400円
350ml 400円
500ml 500円
※2013年時点。※自動販売機が利用できるのは、山小屋の営業期間中に限られます。
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吉田・須走ルート下山道入口

共同トイレの建物を過ぎた先の左側に下山道があります。富士山の吉田・須走ルートは登山道とは別に下山道があり、山頂で道が別れているので、間違えて登山道を降りないように注意してください。

また、お鉢巡りは、石柱を右に回りこんだ先になるので、間違えて下山道へ入らないようにしましょう。

成就岳(旧大日岳):3,735m

吉田・須走ルート下山道入口から見えるなだらかな丘が成就岳(じょうじゅだけ)です。近年まで大日岳と呼ばれていましたが、富士山本宮浅間大社によると正しくは成就岳のようです。詳しくは、以下のミニコラムで説明します。

夜明け前には御来光を求める人でごった返します。

Check Point!

富士山頂 八つのピーク

八つの峰を巡る


剣ヶ峰直下からの山頂の峰々
(右から三島岳・駒ヶ岳(建物の奥)・朝日岳・伊豆岳・成就岳・久須志岳)

富士山山頂には、剣ヶ峰を含めて八つのピークがあり、八神峰(はっしんぽう)とも、八葉(はちよう)とも称されます。

北から東回りに、以下の名称が付されています。

  • 白山岳(はくさんだけ) 3,756m
  • 久須志岳(くすしだけ) 3,725m
  • 成就岳(じょうじゅだけ) 3,735m
  • 朝日岳(あさひだけ) 3,733m
  • 浅間岳(あさまだけ) 3,722m
  • 駒ヶ岳(こまがたけ) 3,722m
  • 三島岳(みしまだけ) 3,734m
  • 剣ヶ峰(けんがみね) 3,776m

尚、八つのピークの名前や組み合わせは時代や資料による変遷があり、今でも完全に定まっているわけではないようです。2014年には、昭文社の『山と高原地図 富士山 御坂・愛鷹』でも表記が変更され、大日岳→成就岳、成就岳→朝日岳となりました。

伊豆岳(いずがたけ)は、3,749mと標高も高い方ですが、八神峰に含まれていません。

仏教と神道 富士山との係わり

かつては、この八つの峰を実際に巡っていたことから「お八巡り」と呼ばれ、いつしか旧噴火口の形状にちなみ、「お鉢巡り」に変化したものと考えられています。しかし、現在はいくつかの峰は通行禁止になっています。なお、火口は「お釜」とも呼ばれますが、なぜか「お釜巡り」とは言いません(笑)

この8つの峰には古来、仏教に由来する名称が付けられていましたが、明治時代の神仏分離令により富士山でも廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)運動が行われ、神道(しんとう)系の名称に変えられたという経緯があります。

聖数 八

富士登山に使われる金剛杖の柄が八角形なのも、この八神峰に由来しています。

数字の「8」は、日本において「聖数(せいすう)」とされ、特別な意味を持つ数字として富士山に纏わる重要な数字でもあります。見方によっては、末広がりの「八」は、富士山の形を現しているようにも思えますね。

成就岳から直接下りないで

お鉢巡りのコースは、成就岳の左下を通過します。成就岳山頂から直接下りようとすると落石を起こしやすく、下の登山道を歩いている人に怪我をさせる恐れがあります。面倒でも、須走口下山道の石柱近くまで戻りましょう。

この先は右側に崖が迫り、道が細くなっています。すれ違いのときなど注意しましょう。

伊豆岳:3,749m

やがて崖を通り過ぎて視界がひらけると、ハンチングキャップのような独特の形をした峰が見えて来ます。これが伊豆岳です。

伊豆岳を右に見て、また細い道を進みます。

▲TOP

荒巻

朝日岳:3,733m

朝日岳の手前に、『荒巻(あらまき)』と呼ばれるコル(鞍部=あんぶ)があります。ここは風の通り道となっていて、火口からコルを越えて強い風が吹き抜けます。

道の右側に見える石垣は、恐らく風を遮るために築かれたものでしょう。強風時は身体を低くして、それでも煽られるようでしたら、石垣の陰を四つん這いで通過してください。もちろん、危険だと思ったら素直に引き返す判断も必要です。

東安河原


東安河原
(右から剣ヶ峰・三島岳)

朝日岳の山頂はなだらかで、南側は東安河原(ひがしやすのかわら:東賽ノ河原)と呼ばれています。剣ヶ峰に移設するまでは、ここに中央気象台富士山頂観測所が設置されていました。やはり風が強いときは危険なので、火口の縁と左側の崖は避けて出来るだけ真ん中を通りましょう。

朝日岳を過ぎると、御殿場口下山道の入口へと下ります。この下りが意外と急傾斜で滑りやすいので、慌てずにゆっくり、細かいステップで降りましょう。

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御殿場口山頂:3,706m

御殿場口山頂です。御殿場ルートは大部分で登山道と下山道が別れていますが、山頂では登山道終点と下山道降り口は同一となっています。

山小屋・施設

富士山頂郵便局

シーズン中だけ開設される、日本一高いところにある郵便局です。


富士山頂郵便局
住所〒418-0011 静岡県富士宮市粟倉地先浅間大社奥宮社務所
営業期間 2017年7月10日(月)~8月20日(日)
営業時間6:00~14:00
トイレなし
その他
※当サイトは山小屋とは無関係な個人が運営しており、上記情報は各山小屋の公式サイトや直接問い合わせするなどで得たその時点における情報であり、内容について一切保証・補償は出来ません。※営業期間、営業時間などは目安であり、天候、曜日、時期などにより変更される場合があります。
Check Point!

銀明水

銀明水(ぎんめいすい)は、御殿場ルートを登りきったところに、柵に囲まれて銀明水があります。

これは、山頂に降った雪の雪解け水が僅かな標高差を流れて湧き出ていたことから、神聖なものとして祠を建てて祀ったようです。

駒ヶ岳:3,722m


駒ヶ岳


駒ヶ岳先端
(下に見えるのは御殿場口登山道)


駒ヶ岳山頂から

駒ヶ岳は、富士宮ルート山頂のすぐ脇にあります。山というより、溶岩の塊という感じです。先は崖となっているので、落ちないように注意してください。特に、夜間は危険です。

Check Point!

駒ヶ岳銅馬舎

駒ヶ岳の裏には、小さな祠が建っています。この祠には、聖徳太子が馬に乗って富士山に飛来したことに由来する銅製の馬が納められています。『駒ヶ岳』の名前の由来でもあるそうです。

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富士宮口山頂:3,712m

富士宮口山頂です。富士宮ルートは、登山道と下山道が別れていないので、下山時も登山道をそのまま下ります。

山小屋・施設

富士山頂上浅間大社奥宮

富士宮ルートを登りきった正面に建っている石造りの建物が奥宮(おくみや)です。


富士山頂上浅間大社奥宮(おくみや)
開設期間 2017年7月10日(月)10時~9月10日(日)朝
2016年7月11日(月)~9月10日(土)
営業時間5:00~17:00
トイレなし
その他
※当サイトは山小屋とは無関係な個人が運営しており、上記情報は各山小屋の公式サイトや直接問い合わせするなどで得たその時点における情報であり、内容について一切保証・補償は出来ません。※営業期間、営業時間などは目安であり、天候、曜日、時期などにより変更される場合があります。

頂上富士館

頂上富士館は、富士宮口/御殿場口側で唯一の山小屋です。男女別れており、吉田口・須走口側のトイレよりもキレイです。


頂上富士館
営業期間 2017年7月10日(月)~9月9日(土)
予約受付2017年 1月13日より
営業時間食堂売店5:00~15:00
宿泊収容人数個室なし150名
チェックインIN16:00~18:00
消灯
OUT4:30ごろまでに退室
トイレ使用料無料:屋内 [宿泊者専用]
その他 荷物預無
更衣室無
注意事項 火器[屋内] 使用禁止
※当サイトは山小屋とは無関係な個人が運営しており、上記情報は各山小屋の公式サイトや直接問い合わせするなどで得たその時点における情報であり、内容について一切保証・補償は出来ません。※営業期間、営業時間などは目安であり、天候、曜日、時期などにより変更される場合があります。

公衆トイレ(富士宮口側)

御殿場口/富士宮口側で唯一のトイレです。


公衆トイレ(富士宮口側)
開設期間 2017年7月10日(月)4時~9月10日(日)正午まで
利用時間4:00~16:00
トイレ使用料300円:バイオ[男:洋式2・和式1]
その他AED有(自動体外式除細動器)
※当サイトは山小屋とは無関係な個人が運営しており、上記情報は各山小屋の公式サイトや直接問い合わせするなどで得たその時点における情報であり、内容について一切保証・補償は出来ません。※営業期間、営業時間などは目安であり、天候、曜日、時期などにより変更される場合があります。

三島岳:3,734m


三島岳


剣ヶ峰直下からの三島岳
(右から三島岳・駒ヶ岳(建物の奥))

公衆トイレの右にある小高い山が、三島岳です。現在はお鉢巡りのルートではありませんが、山頂に立つことが出来ます。

公衆トイレを通り過ぎて50mほど先へ進むと、三島岳の峰を左に回りこむ手前の斜面に白い踏み跡が見つかるので、そこから登ることが出来ます。奥は崖になっていてガイドロープも柵も無いので、特に夜間は落ちないように気をつけてください。

御来光スポット


三島岳からの御来光
(右から駒ヶ岳(建物の右奥)・朝日岳・伊豆岳)

三島岳の山頂は、御来光の穴場となっています。東安河原に立つ人々のシルエットを写せる絶好の場所です。

Check Point!

このしろ池

鯰が住む池


このしろ池
(右から白山岳・剣ヶ峰)

富士宮口側山頂から奥宮と頂上富士館の間を抜けると広場があります。この広場には、雪解けの時期に「このしろ池」と呼ばれる小さな池が現れます。

見た目はただの水溜りですが、「このしろ」と呼ばれる鯰(なまず)が住んでいるといいます。写真では小さいですが、残雪が多い時期に登ると、もっと大きな池の状態で見られます。風が無く、水面が鏡のようになっていれば、「逆さ剣ヶ峰」も写せるはずです。

コノシロの由来

ちなみに、「コノシロ(鮗・鰶)」は幻の魚・・・ではなく、ニシン科の魚として実在しています。

コノシロは出世魚として知られるように、成長に伴って名前が変わりますが、小さいものは鮨ネタとして知られる「コハダ」です。富士山のこのしろとの関連は不明ですが、同じような名前の由来(子の代・娘の代)が伝わっていることから、同一のものとみてもいいのかも知れません。

山頂の信仰遺跡群

三島岳麓石仏群

三島岳の麓、公衆トイレの前には、10体の石像があります。これは、明治初期の廃仏毀釈によって破壊された仏像で、いずれも頭部が欠損しています。

この仏像群は、世界文化遺産の構成要素である『山頂の信仰遺跡群』のうちのひとつです。

▲TOP

剣ヶ峰:3,776m

三島岳を横に過ぎて進むと、段々と正面に立つ尾根が間近に迫って来ます。近づけば近づくほど高さが際立つ、そここそ日本最高峰富士山の山頂、『剣ヶ峰(けんがみね)』です。

剣ヶ峰に到達する前に、最後の難所として立ちはだかるのが、『馬の背』です。馬の背は、その名の通り峰の左右両側が切れ落ちて崖のようになっていますが、登山路のある斜面自体がとても急傾斜で、尚且つ固い岩盤の上に砂が載った、とても滑りやすい斜面です。左側の鉄柵に近いところが登りやすいです。中央から右側は、砂が載った一枚岩となっているので、とても滑りやすいです。

剣ヶ峰
標高3,776.12m
剣ヶ峰馬の背
終点標高3,770m
起点標高3,730m
標高差40m
距離105m
勾配41.2%
平均傾斜角度22.2°
※距離・勾配・傾斜角は地理院地図を使用し管理人が計測、計算。但し、切れのいいところである等高線上を起点終点とした。

標高3,776.12m


日本最高峰剣ヶ峰石柱
(右に見えるのが三角点)

剣ヶ峰には石柱が建っていて、夜明け後などは記念撮影の順番待ちで行列が出来るほどです。

日本最高地点

その石柱の左奥の岩に赤い印がありますが、ここが日本最高地点となります。奥は崖ですから、落ちないように注意してください。

Check Point!

二等三角点

叡智の遺物

剣ヶ峰には二等三角点が設置されています。

三角点とは、測量のための基準として日本全国、合計10万箇所以上の場所に設けられた石柱です。それぞれ、一等から四等まで、等級が定められています。
山の高さを測る三角測量に用いられることから三角点と呼ばれ、半永久的に保つ目的から花崗岩などを用い、重さ90kg(一等三角点)にも及ぶ石材が使われています。

その歴史は明治初期にまで遡ることが出来る、日本国の歴史的な財産でもあるとも言えます。ちなみに、標石を勝手に動かしたり損壊させると、2年以下の懲役、または100万円以下の罰金が課されます。

二つの数値

富士山山頂剣ヶ峰に設置されているのは二等三角点ですが、標高3,775.63mの位置にあります。

一方、平成3年(1991年)の測量により富士山の標高は3,776.12mとなっています。

なぜ二つの数値が異なるのか、非常にややこしいことですが、これは三角点が必ずしも山頂の最も高いところに設置されるわけではないために、このような差が生まれます。

なお、一等、二等などの等級はあくまで測量上のものであって、山のランクや標高の高い低いで決められているのではありません。富士山剣ヶ峰は、二等三角点となっています。また、富士山山頂にはもうひとつ、白山岳に二等三角点があります。

三角点説明版

二等三角点 「富士山」

この標石は「三角点」といい、地球上の位置が正確に求められています。
三角点は、地図作りやいろいろな測量の基準として利用され、大変重要な役割を果たしています。
この三角点は日本一高い霊峰・富士山頂に位置することから、多くの人々に親しまれています。
平成14年4月1日から、三角点の位置を表す基準が日本測地系から世界測地系に変更され、緯度・経度の値が変わりました。

北緯 35度21分38.261秒
東経 138度43分38.515秒
標高 3775.63m

平成14年8月吉日
国土地理院

富士山測候所

日本最高所のレーダー

富士山の山頂には、気象観測を行う観測員のための施設がありました。現在は、『富士山特別地域気象観測所』が正式な名称となっていますが、今でも(旧)富士山測候所という呼び方の方が通りがいいようです。

そもそも、富士山頂で気象観測が行われるようになったのは、公設による通年観測としては1932年(昭和7年)7月1日からとなるそうです。自動観測技術の発達により、富士山山頂での有人観測は2004年(平成16年)10月1日に終了しました。気温と湿度、日照時間(夏期のみ)は、現在も自動観測が行われています。

また、観測員が使用していた建物は、NPO法人『富士山測候所を活用する会』により高所科学の研究に活用されています。

映画にもなったレーダー建設工事

小説家の新田次郎氏が建設に係わったことで有名な富士山気象レーダーは、1964年(昭和39年)に建てられました。富士山山頂という特殊で困難な条件での工事の様子は、NHKのTV番組、『プロジェクトX 挑戦者たち』でも取り上げられたほどです。



このエピソードは、石原裕次郎さんや渡哲也さんの出演で、映画『富士山頂』でも描かれています。

役目を終えたレーダードーム

その後、気象観測の主役が気象衛星に置き換わる時代の変化により役目を終え、1999年に運用を終了しました。現在、レーダードームは富士吉田市に移設され、富士山レーダードーム館となっています。

展望台は閉鎖されました

剣ヶ峰のさらに奥には、見過ごされそうな場所にひっそりと展望台がありました。「ありました」というのは、現在展望台は閉鎖されてしまっているからです。2011年には入れましたので、2012年に立ち入り禁止とされたようです。老朽化により危険と判断されたことが理由だそうです。

電子基準点

現代の三角点

剣ヶ峰には三角点の他に、電子基準点が設けられています。これは、2002年9月2日に初めて富士山に設置されました。

電子基準点とは、GPS(グローバル・ポジショニング・システム=全地球測位システム)衛星からの電波を利用して、継続的に測量を行うための受信装置です。これにより、地殻変動などで地面が動いても、詳細かつ正確に、さらにリアルタイムで情報を得ることが可能になりました。謂わば、現代の三角点というわけです。

電子基準点説明版

電子基準点

この施設は、電子基準点(富士山)といいます。先端部に取り付けてあるアンテナでGPS衛星からの電波信号を受信することにより、この地点の位置を正確に求め、土地の測量や地図作成の基準点として利用されています。
受信データは、常時茨城県つくば市にある国土地理院へ衛星電話で送られ、コンピューター処理により最新の位置座標が時々刻々得られるようになっています。
位置座標の変化から地殻変動を知ることが出来ますので、電子基準点は地震・火山等の調査研究にも欠かせないものです。

茨城県 つくば市 北郷1番
国土地理院 電話番号 0298-61-●●●●

馬の背下りで転倒者続出

お鉢を一周せずに、剣ヶ峰で引き返す方は、馬の背の下りに注意してください。大げさでなく、転倒者が続出する難所です。

下るときも登りと一緒で、小股(短いステップ)、ほんの少し前傾、やや小走りで駆け下りるのが比較的安全です。反射神経に自信の無い方は鉄柵を頼りに降りるしかありませんが、人の多い時間帯だと、登りの人と交錯して、時間も掛かります。また、転んでも怪我しないように、長袖、手袋で備えましょう。

荷物をデポする裏技

登る前に荷物(ザック)を馬の背の下にデポ(depot=一時的に置いて)して空身で登るとより楽になります。盗難が心配な方は、家族など複数人で登っているのであればグループを二つに分け、片方を荷物の見張り番として残しておいて交互に登頂するといいでしょう。但し、時間に充分な余裕のあることが前提です。

▲TOP

大沢崩れ上部

剣ヶ峰の下から西回りに道を下ると、西安河原(にしやすのかわら:西賽ノ河原)へ出ます。この辺りは、登山シーズンに入っても雪が融け残っている場合が多いです。登山道が完全に残雪に覆われているようだったら、通行は避けた方が無難です。

西安河原


西安河原
(右下)

以前は西安河原に、環境庁(当時)の『富士山頂地区管理舎』と、東京大学大学院による『サブミリ波電波望遠鏡』が設置されていました。

サブミリ波というのは、0.1~1mmの波長の電磁波で、地球大気の水蒸気に吸収されてしまうために、観測が非常に困難なのだそうです。観測のためには標高が高く乾燥している場所に電波望遠鏡を設置しなければならず、日本で条件を満たすのが、唯一、冬期の富士山山頂ということで西安河原が選定されたのだとか。1998年から続けられた観測は、落雷による施設の被害を原因として中止され、2005年に閉鎖されました。

左回り

逆周り(左回り)で剣ヶ峰を目指すと、かなりの急傾斜を登ることになりますが、それでも馬の背を登るよりは安全です。

富士山山頂から夕陽を見る

富士山を西側から登る登山道は無いので、夕陽を眺める最高のポイントは、山頂の大沢崩れ上部からとなります。但し、夕陽が落ちきってしまうと安全に下山出来る保証はありません。夕陽を目的とするのであれば、山頂の山小屋に予約を取り、完全に暗闇が訪れる前の薄暮の間に戻るようにしましょう。

日の入りからの時間的な余裕は、約30分です。いずれにしても、必ずヘッドランプは携帯してください。

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小内院分岐

大沢崩れ上部を過ぎると、吹き曝しの細い尾根に出ます。この尾根は、写真で見ても分かるように、強風が吹いたら簡単に吹き飛ばされて、崖下に真っ逆さまです。体が煽られるほどの風が吹いているときは、素直に引き返しましょう。

一番上の写真のように見た目で45°ぐらいあると、実際には60°ぐらいに感じる急傾斜です。転がり落ちたら、50mや100mでは止まらずに岩に激突してお陀仏です。

この細い尾根はほぼ平坦な道ですが、先へ進むと尾根が登りになります。しかし、登りの道は現在では使われておらず、右下へと下る道が正解です。濃い霧が出ていると間違いやすいので気をつけてください。

Check Point!

小内院:雷岩と釈迦の割石

小内院

尾根を下ると、小内院の縁に出ます。小内院は、大内院同様に過去の山頂噴火口のひとつです。

雷岩

小内院から上を見上げると、左側にゴツゴツとした塊が稜線から飛び出して見えるのが雷岩です。「かみなりいわ」とも「いかづちいわ」とも呼ばれますが、雷がそちらの方向から来るためにそのように呼ばれているのだとか。

釈迦の割石

釈迦の割石(しゃかのわれいし/わりいし)は白山岳の山頂付近にあるので、晴れていたらここに来るまでの間もずっと見えていたはずです。小内院に来るまで気がつかなかったのであれば、足元に集中し過ぎです。もっと周囲を見渡す余裕が欲しいですね。釈迦の割石は、下から見上げるよりも小内院手前の尾根から見る角度の方が、まさに「割れた岩」という形とスケールの大きさが感じられるので、見逃したならもったいないからです。

白山岳:3,756m

小内院の前で、道は二つに別れます。ひとつは降って金明水へ回り道します。もうひとつは、白山岳の足元を回り込むようにして久須志岳へ向かいます。

二つの道は先でまた合流しますし距離の違いもあまり無いですが、金明水から主ルートへ復帰するのに急な登りとなるので、多くの人は金明水をスルーしてしまうようです。

Check Point!

金明水

御殿場口山頂の銀明水と同様に、山頂で水が湧き出す場所として神聖視されて祠が建てられています。白山岳の直下にあるので、恐らく白山岳に降った雨が湧き出すのでしょう。

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白山岳東分岐

久須志岳:3,725m

金明水からの道と合流した主ルートは、少し登りながら久須志岳の脇を抜けて吉田口・須走口山頂へと出ます。久須志岳は平坦なピークなので見逃してしまいがちですが、この山頂から見る火口が一番安全に底まで見通せるような気がします。

山頂には横倒しになった鳥居の他に、全日本山岳リレー縦走の記念碑が建っており、その上部は立体的な富士山を中心に象った方角指示盤になっています。

なぜ埋められているのか

また、山頂の写真をよく見ると、何か赤い物体が岩に埋もれているのが見えます。写真を見返すまで存在に気がつきませんでしたが、恐らく祠の屋根だと思います。なぜ埋められているのか、調べて何か分かったらお知らせしたいと思います。

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